教育/留学/習い事

その14 [往きはよいよい帰りは怖い②]

Y子

31歳。ものごとをあんまり深く考えていないのでストレスは少ない。自分の身に危険が迫ると恐怖のあまり脳がヒートしてしまい、笑い出してしまうクセがある。以前バンジージャンプをした時、飛び降りた瞬間からケラケラ笑っていた。お化け屋敷でも笑い出すので、お化けにビックリされてしまう。19歳でメイクアップアーティストに憧れて専門門学校へ。その後ファッションショーなどの現場で働くが、給料が安すぎて、家の電気、ガス、水道を止められる。それでもコンビニのトイレや銭湯に通いながら粘り強く続けるが、毎日ツナ缶だけで生活していたため、体重が40kgを切ってしまい最後は栄養失調で倒れてしまうという経験を持つ。彼氏ができると何よりも優先してしまうため友達はほぼいないという残念なタイプ。現在セカンドWHでシドニー滞在中。

ガトンへの帰り道で見た朝焼け

拳銃を向けられ固まってしまった私。ところがその後悪いクセが出てなんと笑い出してしまった。そう、自分でも理解できないのだが、私の脳は恐怖に陥ると笑えという指令を出すらしい。恐怖だけではなく、やっかいなことに人に怒られたときも笑ってしまう。相手が感情を露にして怒れば怒るほど笑いが止まらなくなるのだ。小さいころ、母親がヒステリックに怒ったときの顔が赤鬼に似ていてそれがおもしろくて笑ってしまったのだ。きっとそれが始まりだ…。どうにかしたいが、今さらどうにもできない。余談が長くなってしまったが拳銃を向けられた私は案の定、恐怖のあまりフフフ…と笑ってしまったのだ。もう終わりだ。奇妙なアジア人がなにも話さず、ただ笑っている。そんな人間に向けた銃口を下ろすはずがない。そのときだった。天の助けか、彼のペットと思われる犬が、私にすり寄ってきたのだ。なんとか正気に戻ってきた私は、恐る恐る両手を上げることができた。それから、しどろもどろではあったが決して怪しいものではないと説明することができた。おじさんは銃口を下ろし、今までのいきさつを聞いてくれたのだ。そしてこんな怪しい私の話しを信じてくれた。その後、ガソリンを分けてくれたうえに、ゴールドコーストから5時間近くずっと運転をし続け憔悴していた私たちを、家の中に招き入れ、果物とパンを恵んでくれたのだ。さらにガトンまでの地図を描いて帰り方を説明してくれた。涙が出るほど親切な人だった。オーストラリアに来て、いや…今まで生きてきた中で一番心が温かいと思える人だった。おじさん、笑ってしまってごめんなさい。今後はなるべく笑わないよう気をつけます。そりゃそうですよね、こんなひと気のない森の中の一軒家で、夜遅くに激しくドアを叩かれたら怖いですよね。さらにドアを開けると、日本のホラー映画に出てきそうな黒髪で青白い顔の”リングの貞子”みたいな女がうす気味悪い声で笑っていたら怖いですよね。そんな思いをさせてしまったにも関わらず親切にしてくれたおじさん。本当に感謝です。ペットのワンちゃんにも感謝です。私たちはおじさんが描いてくれた地図を頼りにガトンまでの道を走り続けた。やっと辿りついた時には陽が登り始め、空が紫色に染まったころだった。 長旅でした…。お父さん…、「行きはよいよい帰りは怖い」。この言葉の意味がやっとわかったような気がします。

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