【ACT9日】 オーストラリアでは詐欺の手口が年々巧妙化しており、2025年には被害総額が21億8000万豪ドルに達し、前年より約8%増加したものの、2022年の31億豪ドルというピークからは減少している。こうした中で特に問題となっているのが、被害者が銀行の支店内にいながら詐欺師と通話し、リアルタイムで指示を受けながら職員をだますケースである。
SA州のANZ銀行では、高齢の女性が「車を購入するため」として現金を引き出そうとしたが、車種を答えられないなど不審な点があったため、職員が対応を慎重に進めた結果、詐欺であることが判明した。女性は「銀行が預金をすべて取り上げる」と信じ込まされ、資産を守るために現金を引き出すよう指示されていたうえ、「車を買う」という説明も詐欺師から事前に与えられていたものだった。
銀行側によると、このように被害者があらかじめ用意されたストーリーを繰り返したり、イヤホンなどを使ってその場で指示を受けながら窓口で応答するケースが増加している。そのため、不正検知システムが異常を察知しても、被害者自身が強く信じ込んでいることで取引が正当化されてしまうことがある。
オーストラリア金融苦情局の統計では、詐欺に関する苦情件数はこの1年間で12%増加した一方、2年前のピークと比べると38%減少している。ただし、この機関が扱うのは銀行などと直接解決できなかったケースに限られる。詐欺の種類としては投資詐欺が最も多く、次いで送金誘導詐欺やロマンス詐欺が続く。
年齢別では、35歳から44歳が最も詐欺被害に遭いやすい一方で、65歳以上は人口の約17%であるにもかかわらず、全体の被害額の26.5%を占めており、1件あたりの被害額も最も高い。
こうした状況を受けて、サイバーセキュリティ企業は、企業やサービスの安全性を評価する「サイバーセキュリティ格付け制度」の導入を提案している。この制度では、二要素認証の有無や高リスク業務の外部委託の状況、海外のデータセンターやコールセンターの利用といった要素が評価指標となる可能性がある。既存の規制は最低限の基準を示すものにとどまるため、こうした格付けによって透明性を高め、企業にさらなる対策強化を促すことが期待されている。
詐欺の手口が高度化し続ける中で、個人の注意だけでなく、金融機関や制度全体での対応強化が一層重要になっている。
ソース:news.com.au – Scammers coaching victims in real-time to deceive staff, ANZ reveals