【NSW8日】 NSW州のマイケル・デイリー司法長官が、10歳~14歳の子どもに対し刑事責任を問わないとする法原理、「ドリ・インカパックス(doli incapax)」を見直すと発表したことを受け、市民団体が強く反発しているようだ。NSW州の地方都市では、青少年による犯罪が急増しており、市民による怒りの声が高まっている。
NSW州犯罪統計・研究局(BOCSAR)によると、NSW州セントラル・ウエスト地区、ファー・ウエスト地区、オラナ地区、ニューイングランド地区、およびノースウエスト地区で、2020年から2024年の間に警察に検挙された若者の数は26%増加した。2024年には3,444人の若者に対し訴訟が起こされた。
ドリ・インパックスは、子どもを不当な訴えから守る保護制度だ。デイリー司法長官はドリ・インパックスの運用について懸念の声があるとした上で、「改善点や法改正の可能性を慎重に検討するため、見直しを指示した」と説明した。
NSW州で10~13歳の子どもが少年裁判所で有罪判決を受ける割合は、2015~16年の76%から、2022~23年には16%まで減少した。また、2022~23年に起訴された事件では、半数以上で検察が訴えを取り下げた。
NSW州自由人権協会のロバーツ会長は、今回の見直しがドリ・インパックスによる子どもの法的保護をなくすことにつながると強く懸念しており、「見直しは全く不要」で、「見直しは逆に状況を悪化させる危険がある」と訴えた。
ソース:news.com.au-NSW launches review of doli incapax legal protection for minors