【WA5日】 ザトウクジラやジュゴン、イルカ、ウミガメなどが生息する世界有数の海洋生態系が、保護区として新たな一歩を迎える。
WA州政府は、州北西部に位置するエクスマス湾全域を海洋公園に指定する方針を発表した。同湾はザトウクジラの繁殖地であり、世界最大規模のジュゴン生息地の一つとして知られるほか、ノコギリザメやカスザメ類、ウミヘビ、渡り鳥など希少種の重要な生息環境となっている。さらに、この地域には少なくとも4万年前に遡るアボリジニの遺物や遺跡が存在し、世界でもここにしかいない地下性生物も確認されている。
一方、同湾を含む西豪州沿岸では2024年から2025年にかけて観測史上最悪の海洋熱波が発生。大規模なサンゴの白化や海洋生物の大量死が記録されており、州の海洋科学機関は「エクスマス湾の生態系は深刻な打撃を受けている」と報告している。政府は湾の30%を「禁漁区域(サンクチュアリゾーン)」に指定し、長期的な生態系の健全性維持と生物多様性の保護を図る計画だ。
ロジャー・クック州首相は「エクスマス湾は地球上で最も特異で貴重な海洋生態系の一つ。最高水準の保護に値する」と強調し、「アボリジニコミュニティと協力しながら、文化的・環境的価値を守りつつ地域社会と産業がこの特別な場所を享受できるようにする」と述べた。
環境団体オーストラリア海洋保護協会(AMCS)も今回の発表を歓迎。「エクスマス湾はガスコイン・ゲートウェイ港建設計画などの産業化による脅威にさらされており、海洋公園の指定は重要な一歩」としつつも、「最大の脅威は気候変動であり、海洋熱波による前例のない被害に対し、州と連邦政府は抜本的な対策を取る必要がある」と訴えている。
ソース:news.com.au – Entire Exmouth Gulf tourist site to be declared a marine park