【VIC9日】 VIC州は、オーストラリアで初めて州議会に条約を正式提出する州となる見込みだ。ジャシンタ・アラン首相は火曜日、州政府とVIC州ファースト・ピープルズ・アセンブリー(先住民議会)が原則合意に達したと発表した。
この条約が成立すれば、新たな権限機関「ゲリング・ウォード」の下で恒久的な先住民議会が設置される。ゲリング・ウォードとは、グナイカーナイ(Gunaikurnai)語で「槍の先端」を意味する。現在の先住民議会は2019年に設立され、先住民自身による民主的選挙で選ばれた議員が、先住民に直接影響する事項の意思決定や規則を作成している。
今回の法案には、公立・私立を問わず、就学前から10年生までの学校カリキュラムに「真実を語る教育(truth-telling)」の学習を組み込むことが盛り込まれている。また、先住民コミュニティ基金や名誉録、NAIDOCウィークの運営、地理的名称の命名権なども議会が担当する。警察や政府資金を受ける団体に関する規則や政策の相談にも関与するが、最終決定権は政府にある。
アラン首相は「この取り組みは誰かから何かを奪うものではなく、先住民VIC州民の生活やサービスを改善するもの」と述べた。また、「真実を語る教育を学校に組み込むことで、未来の世代がこの州の歴史を理解できるようになる」と強調した。条約に基づく変革は段階的に行われ、教育現場では、州が世界で最も長く連続した文化を有する土地であることや、土地・環境・家族・コミュニティのケアに関する知恵を次世代に伝えることが目標とされる。
共同議長のナラ・マレー氏は「先住民は長年、正義と認識を求めて権力に真実を語ってきた。今、私たちは条約時代の始まりに立っている」とコメント。「条約により、先住民が自分たちの生活に関する意思決定を主導し、尊重、真実、共有責任に基づく未来を築ける」と語った。
法案は州議会を通過後に正式化されるが、上院では少なくとも6人のクロスベンチ議員の支持が必要で、承認に向けて抵抗も予想される。アラン首相は、リベラル党が条約を支持しない意向を示していることに対し「驚くべきことではない」と批判。「条約を削減することは、サービスを削減することに他ならない」と指摘した。
今回の条約導入は、オーストラリア史上初の州レベルでの条約締結となる可能性があり、先住民と州政府の関係を再構築する歴史的な一歩として注目されている。
ソース:news.com.au – ‘Historic day’: Victoria introduces country’s first treaty