【SA13日】 SA州政府は、沿岸地域で続く藻類(アオコ)大量発生による観光不振を受け、レストランでの外食を促すため、50豪ドルの食事代バウチャーを配布する新たな支援策を発表した。
ピーター・マリナウスカス州首相は13日朝、連邦政府と連携して策定した1,500万豪ドル規模のプログラムを発表。「ユニークで新しい、そして大規模な投資だ」と述べ、夏の旅行シーズンを前に観光客減少に直面する沿岸地域の需要喚起を狙うとした。
このプログラムでは、11月から毎月6万枚のバウチャーが一般抽選で配布される。対象地域の飲食店で50豪ドル分のキャッシュバックが受けられる仕組みで、「100ドル使えば、50ドルが戻ってくる」と説明された。なお、この食事券を利用できるのはSA州在住者のみとなる。
藻類の大量発生は3月に初めて確認され、これまでに約1万3,000匹の海洋生物が死滅。州の主要産業である水産業と観光業に深刻な打撃を与えている。現在、州の海岸線の約30%が影響を受けているという。ポート・リンカーン市のダイアナ・ミスロフ市長は、連邦上院での公聴会で「私たちの地域では、4月以降イカがまったく見られなくなった」と証言。「漁師たちは西海岸まで600kmも移動しなければならず、燃料費や移動時間がかかり、収入も減少している」と訴えた。観光施設や釣具店なども売上減に苦しんでいるという。
この藻類問題の影響で、州と連邦政府は水産業・観光業での大規模な雇用喪失を懸念し、対応を急いでいる。海洋生物学者のショーナ・マレー博士は、原因解明が依然として進んでいない現状を指摘。「まず“何が起きているのか”を科学的に理解する段階にある。海外でもほとんど前例がなく、まったく新しい現象だ」と述べた。
ソース:news.com.au – South Australia announces $50 dining cash back vouchers to prop up coastal tourism amid algal bloom crisis