政治

オーストラリアの「深刻な」燃料備蓄に警鐘

【ACT19日】   オーストラリアの燃料備蓄はわずか数週間で底をつく恐れがある。苦境に立つ野党党首のスーザン・リー氏は行動を求め、「状況は深刻だ」と警告しながら、自身の国家安全保障の優先事項を示す演説で危機感を訴える。

オーストラリアは過去10年近くにわたり、国際的な燃料備蓄義務を満たせていない。国際エネルギー機関(IEA)の加盟国として、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料などの主要燃料を90日分備蓄することが求められている。専門家は長年、オーストラリアが備蓄を増やすべきだと警告してきたが、実際には備蓄は減少し続けており、最新の公式データではガソリンは28日分、ディーゼルは25日分、ジェット燃料は20日分にとどまる。

リー氏は20日、メルボルンのシンクタンクでの演説で、緊急対応がなければ、国は攻撃を受けた際に崩壊しかねないと警告する。オーストラリアは燃料の大部分をアジアの製油拠点から輸入しており、主要な供給国はシンガポール、日本、マレーシアなどだ。輸送航路は南シナ海や台湾海峡など、中国との緊張が高まれば敵対的になり得る海域を通ることが多い。

しかしリー氏は、そこまで大規模な危機でなくてもオーストラリアは危険にさらされる可能性があると警告する。「私たちの燃料安全保障は非常に脆弱で、地域的な危機や紛争に直接巻き込まれなくても、危険に晒される可能性がある。通常の航行がオーストラリアに安定して届かなくなるだけで、社会の通常機能は停止してしまう。責任ある政府が行うべきは、供給網の初期混乱を乗り切れるだけの燃料を確保し、社会が機能し続けることを保証することだ」

さらにリー氏は、アルバニージー政権が欧州のロシア依存から学んでいないと非難する。2022年、ウラジーミル・プーチン氏がウクライナ侵攻を開始した際、EUは代替燃料とエネルギー供給の確保に追われた。燃料とエネルギーの価格は急騰し、生活コスト全体にも影響を及ぼした。「ロシアはこの燃料依存をウクライナ防衛側に対して武器化し、アクセスを遮断したり、パイプラインを破壊したりした。経済的手段、破壊行為、サイバー攻撃、海賊行為、テロにかかわらず、グローバル化したエネルギー供給網の武器化は今後も続くだろう。供給源の多様化と生産の主権強化を組み合わせることが、国にとって唯一の解決策だ」

ソース:news.com.au – Ley sounds alarm on Australia’s ‘dire’ fuel reserves

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