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生活費高騰で医療支援強化 NSW

【NSW14日】   生活費の上昇が続く中、NSW州政府は、「人々のいる場所で医療を提供する」方針を掲げ、医療費負担の軽減に取り組む姿勢を示した。これにより、州内の家庭は年間最大1200豪ドルの医療費を節約できる可能性がある。

冬季に向けた入院患者の増加が見込まれる中、NSW州政府は無料医療サービスの拡充を進めている。連邦政府も生活費対策を重視しており、ジム・チャーマーズ財務相が発表した2026〜27年度予算でも重要課題として取り上げられた。同予算には、2028年半ばからの250豪ドルの税額控除や、キャピタルゲイン税やネガティブギアリングの見直しが盛り込まれている。

ライアン・パークNSW州保健相は、これまでの医療制度が「患者を制度に合わせて来院させる仕組みだった」と指摘し、「人々の生活に合わせた医療提供へ改革している」と説明した。具体的には、無料の緊急医療サービスやオンライン診療(バーチャルケア)を拡充。これにより、時間や費用のかかるGP(一般開業医)受診を減らす狙いがある。

バーチャルケアはすでに州全体に拡大されており、完全無料(バルクビリング)で利用可能。年間6回GPを受診する人の場合、最大264豪ドルの節約につながるとされ、4人家族では最大1056豪ドルの負担軽減が見込まれる。パーク州保健相は「生活費対策は極めて重要」とし、「多くの家庭が本当に厳しい状況にあり、医療費は先送りできない負担だ」と強調した。

NSW州では、インフルエンザの流行などにより冬季の患者急増が予想されている。現在、約1200床が高齢者ケアやNDIS(障害者支援制度)利用者の転院待ちで占有されており、「ベッドブロック」と呼ばれる問題が発生している。また、重症度の高いカテゴリー1〜3の患者が大幅に増加しており、医療現場の負担が増している。州政府は、比較的軽症のカテゴリー4・5の患者を病院以外で対応することで、医療体制の逼迫を緩和したい考えだ。

州政府は、無料サービスの活用により、家庭が年間最大1200豪ドルを節約できるとしている。2026年4月からは、2〜4歳児向けに針を使わないインフルエンザ鼻スプレーワクチン(フルーミスト)を無料提供。さらに、5歳以下の子どもと保護者向けの無料ファミリーヘルスサービスや、すべての子どもを対象とした無料歯科サービスも提供されている。

加えて、ブラックタウン、ワガワガ、ブロークンヒルなど州内各地の24か所のメディケア・メンタルヘルスセンターやキッズハブで無料の精神医療サービスも利用可能となっている。ローズ・ジャクソン精神保健相は、「州全域にわたり5800万ドルを投資し、メンタルヘルス支援を強化している」と説明した。

クリス・ミンズ州首相は、「住宅費や食費、燃料費の高騰で家計が圧迫される中、基本的な医療が高額で利用しにくいものであってはならない」と強調。「こうした無料・低価格の医療施策は、家計の負担を軽減し、今すぐ役立つ支援となる」と述べた。また州政府は、これまでに避妊薬やADHD治療薬へのアクセスをGP経由で拡大するなど、医療サービスの利便性向上にも取り組んでいる。

ソース:news.com.au – ‘Meet people where they are’: NSW’s health pledge as cost of living pressures grow

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