【ACT19日】 サメの目撃情報を、泳いでいる人やサーファーが海の中にいる間に受け取れる新しい技術が、オーストラリアで開発された。従来の警報システムの弱点を補い、より迅速な情報提供を目指す。
サメ情報プラットフォーム「ドーサル(Dorsal)」は、市民から寄せられた目撃情報と政府などの公式情報を組み合わせ、利用者にほぼリアルタイムで通知するシステムを開発した。
元プロサーファーでドーサル共同創業者のサラ・ビアードモア氏は、このシステムは政府のサメ監視プログラムに代わるものではなく、「追加の情報源」として機能すると説明した。「公式プログラムは非常に優れている。私たちのシステムは、それを補完するための追加の情報レイヤーだ」と同氏は語った。
近年は海を利用する人が増え、ドローンやスマートフォン、そして日常的に海岸を訪れる人々から多くの目撃情報が集まるようになったため、海の状況を把握できる機会も増えているという。ドーサルの目的は人々を必要以上に恐怖に陥れることではなく、海へ入る前により良い判断ができるよう支援することだ。利用者は最近の目撃情報を参考に、そのまま海へ入るか、しばらく待つか、別のビーチへ移動するかを自分で判断できる。
ビアードモア氏は、自身もバイロンベイ周辺でサーフィンをする際、あるビーチでサメの目撃情報が複数あれば、南の別のビーチへ移動してサーフィンをすると明かした。特に印象に残っている事例として、バリナのノース・ライトハウス・ビーチで遊泳中の男性がサメに襲われ脚を骨折した事故を挙げた。事故から約1時間後、約2km離れた別のビーチでも同じ種類・同程度の大きさとみられるサメが目撃され、別の接触事例も報告されたという。その情報を受け、同氏はその日は海に入らないことを決めた。
また別のケースでは、サメによる事故で入院していた人から直接連絡を受けたという。その人は「ほかに誰へ伝えればいいか分からなかった」と話し、地域の人々へ危険を知らせるためドーサルへの投稿を希望した。
現在、同社はスマートウォッチ向けアプリも開発中で、海の中にいる利用者へ直接通知を送れるようにする計画だ。「ドローンや一般利用者から寄せられた目撃情報を、海の中でサーフボードに乗っている人へ直接届けられるようになる。スマートフォンは浜辺に置いていることが多いので、そのような場面では役に立たない」と説明した。
この機能は、公的な監視が終了した後も多くの人が海に残っている時間帯に特に重要となる。同氏は、夜明けや夕暮れ時、人の少ないビーチや遠隔地の海岸は、現在の監視体制では情報が届きにくい「空白地帯」だと指摘した。「ドローンによる監視は決められた時間しか行われない」と話し、監視時間外や人里離れた海岸では、市民からの目撃情報が一層重要になると強調した。
ドーサルは2015年、NSW州北部でサメによる事故が相次いだことをきっかけに誕生した。当時は事故前にサメを見かけた人がいても、迅速に情報を共有し警告する手段が十分ではなかったためだ。現在ではアプリのダウンロード数は数十万件に達し、SNSのフォロワーは62万7000人以上、メール登録者は25万5000人を超えている。2025~26年の夏には、オーストラリアの無料スポーツアプリ部門で全豪オープン公式アプリに次ぐダウンロード数を記録した。
アプリは無料で利用できるが、年間9.99豪ドルの有料プランでは広告非表示、目撃情報への写真・動画添付機能、利用者ごとのビーチ通知などが利用できる。今後はドローンとの連携や波情報機能、スマートウォッチ対応などを進めるため、クラウドファンディングサービス「バーカル(Birchal)」で資金調達を開始する予定だ。
ソース:news.com.au – Shark alerts to reach surfers in the water with new Aussie developed app