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NSW州政府、AI活用促進の「人工知能庁」設立

【NSW4日】   NSW州政府は、公共部門での人工知能(AI)の安全な導入を推進するため、新たに「人工知能庁(Office for Artificial Intelligence)」を設立した。

同庁はカスタマーサービス省のDigital NSWに所属し、公共部門でのAI導入を支援するための基準策定や助言を行う。AIの導入によって停滞気味の生産性向上が期待されるほか、「技術とその活用がコミュニティにとって信頼できるものであること」を保証し、リスクを最小限に抑えることも目標としている。

デジタル政府担当大臣のジハード・ディブ氏は、「人工知能はすでに多くのオーストラリア人の生活の一部となりつつある」と述べ、「政府としては責任を持ってAIを活用し、コミュニティに明確な利益をもたらすことが重要だ」と強調した。また、「新設の人工知能庁はNSW州におけるAI活用の先導役であると同時に、将来的に政府サービスをより効果的に提供するため、先端技術を安全かつ責任を持って導入・管理するためのロードマップを示す」と説明した。

州政府は同庁を当初2年間の期間限定で設置すると発表。高リスクAIプロジェクトを評価するAIレビュー委員会の活動を補完する形で運営される。AIレビュー委員会は3日から、元人権委員およびUTSヒューマンテクノロジー研究所共同ディレクターのエドワード・スワトウ氏が議長を務め、学者、医療、ヒューマンライツの専門家7名が加わった。

近年、オーストラリアの生産性危機を背景に、AI活用の潜在的メリットに関する議論が高まっている。先月、アルバニージー政権は住宅査定の迅速化に向けてAI導入のパイロット実施を発表した。NSW州政府は、生成系AIが2030年までにオーストラリア経済に1150億豪ドルの利益をもたらすと見込んでいる。

NSW自由党のマーク・スピークマン党首は、7月の州予算返答演説で、将来の連合政権下でAI担当大臣を設置すると表明。オーストラリア初の人工知能担当大臣は、教師や看護師が「日常的な業務」から解放されることを支援するとした。また、中小企業向けの低金利「AI for Biz」ローンを創設し、責任あるAI導入を促進することも約束した。

ソース:news.com.au – NSW government establishes Office for Artificial Intelligence amid productivity crisis

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