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オーストラリアで認知症の診断・死亡が急増

【ACT12日】   オーストラリアで認知症が死因の首位となり、今後40年以内に100万人以上がこの症状を抱えると予測されていることが、新たな報告書で明らかになった。

オーストラリア保健福祉研究所(AIHW)によると、2023年に国内で認知症が原因で死亡した人は約1万7,400人で、全死亡の9.5%を占めた。報告書では「認知症は女性の死因の第1位、男性では虚血性心疾患に次ぐ第2位だった」としている。

昨年時点で、国内で認知症と共に暮らす人は推定42万5,000人(人口1,000人あたり16人)だった。年齢が上がるほど罹患率は急上昇し、30~59歳では1,000人に満たないが、85~89歳では1,000人中210人に達する。患者の約3分の2は女性とされる。

認知症にはさまざまなタイプがあり、記憶障害だけでなく、言語、思考、感情のコントロール、行動、運動機能にも影響を与える。最も一般的なのは神経細胞の死によるアルツハイマー病だが、複数のタイプが同時に現れる「混合型認知症」もある。65歳未満の若年性認知症や、まれに小児にも発症するケースがある。

診断には複数の認知機能検査や医学的評価が必要で、現時点で根治療法はない。遺伝や家族歴といった避けられない要因もあるが、睡眠、運動、体重管理、喫煙、飲酒といった生活習慣を改善することでリスクを減らすことは可能とされる。

AIHWによれば、2023年には少なくとも10万2,000人が認知症患者の主介護者として非公式に支えていた。2023~24年の入院理由の約455件に1件は認知症が主因であり、2020~21年度の医療・高齢者ケア費用のうち約37億豪ドルが診断・治療・ケアに充てられた。その内訳は、施設介護が49%(18億豪ドル)、地域介護が20%(7億4,100万豪ドル)、病院サービスが18%(6億6,200万豪ドル)と報告されている。

高齢化の進展に伴い、2065年までに認知症患者は100万人を超えると予測されている。認知症オーストラリアのターニャ・ブキャナンCEOは「認知症はすでに多くの国民に影響を与えている。行動を先延ばしにする余裕はない」と警告。政府に対し、国民的議論の推進、認知症ナビゲーターへの資金投入、ケア人材のスキル向上など包括的な取り組みを求めた。

また、同団体の調査では、診断後に友人や家族が離れていくことが大きな課題だという。今年の「認知症アクションウィーク」(9月中旬開始)のテーマは「誰も一人ではできない」とされ、国民に対し認知症と向き合う人々への積極的なつながりを呼びかけている。News.com.auとThe Australianでは「Think Again」キャンペーンを立ち上げ、認知症に関する社会的認識を変え、予防啓発と支援拡充を訴える。

ソース:new.com.au – Report reveals terrifying rise in dementia diagnoses and deaths among Aussies

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