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前VIC首席保健官、コロナ対策の一部は誤りと認める

【VIC23日】   オーストラリアで最も厳しいコロナ禍の規制を導入した元VIC州首席保健官ブレット・サットン教授が、一部の対策はやり過ぎであったと認め、州が大きな社会的コストを払ったことを明らかにした。

サットン氏は、エルボータッチや買い物の消毒、手指消毒剤の使用など、パンデミック期間中に日常的となった多くの措置について、「大半は必要なかった」と振り返った。

現在はCSIROの健康・バイオセキュリティ担当ディレクターを務める同氏は、ポッドキャスト「Neil Mitchell Asks Why」に出演し、「表面や握手でウイルスが広がるという考えを過大評価していた。実際には空気感染が主体だ」と説明した。サットン氏は、手洗いや消毒が有害ではないことは強調する一方で、その役割は主に病院内の細菌感染予防に限られ、空気感染するウイルスを防ぐ上での重要性は低かったと指摘した。

VIC州では、外出禁止令や自宅から5km以上離れた移動の制限など、世界でも最も厳しいロックダウンを経験。ワクチン接種率が上がるまでの総ロックダウン日数は262日に達し、人口が多く死者が少なかったNSW州の半分以下に比べ、格段に長期間だった。

サットン氏は「おそらく社会として再びロックダウンを行いたくないという結論に達するだろう。それで構わない」と述べ、マスク着用や距離の確保、ワクチン接種を個々が自主的に行うことで別の対策が可能だったと振り返った。また、低リスクである若者たちが生活制限を強いられたことに触れ、「化学療法中の人や免疫抑制状態の人、高齢者や介護施設の人のために、子どもたちは犠牲を払った」と述べた。自らの判断についても「スピードが重要であったため、設定や判断については何度も自分の中で再検討してきた」と語り、全責任は自身にあると認めた。

さらにサットン氏は、今後10年以内に別のパンデミックが発生する可能性が高いと警告し、現在は国家レベルでの計画と予防策の整備に注力していると述べた。「感情的には楽観的だが、知性的には悲観的だ。国家や世界を揺るがす大きな課題が迫っている。それが現実にならないことを願う」と締めくくった。

ソース:news.com.au –

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