【ACT8日】 子どもが親を殺害または傷害致死する「パリサイド(Parricide)」は、オーストラリアで年間全殺人事件の約5%を占め、多くが家庭内の口論をきっかけに発生し、刃物が使用されるケースが多いことが、新たな研究で明らかになった。
オーストラリア犯罪学研究所(AIC)は、国家殺人監視プログラム(National Homicide Monitoring Program)の35年間のデータをもとに、国内のパリサイドの特徴を分析した。研究によると、オーストラリアにおける発生率は国際的な傾向とほぼ一致しており、「稀ではあるが持続的に発生している」ことがわかった。
過去35年間で429件、年平均12件のパリサイドが記録されており、NSW州が全体の約3分の1を占め、VIC州とQLD州がそれぞれ約5分の1ずつを占めていた。AIC副所長のリック・ブラウン氏は、「パリサイドは家庭内暴力への対応において、特別な形態の暴力として考慮されるべきだ。研究では、被害者の男女比はほぼ同程度で、息子は父親を、娘は母親を殺害する傾向が高いことが示された」と指摘した。
事件の大半は片方の親のみが犠牲となるが、10件に1件は両親を殺害する「ダブル・パリサイド」であり、これは全て息子によって犯されていた。被害者の54%が父親、46%が母親で、オーストラリア全体の殺人事件(被害者の65%が男性)に比べると男女比が拮抗している。親密なパートナー間の殺人事件では、被害者の76%が女性である。加害者の大多数は男性で、女性はわずか14%にとどまった。
殺害に使われた凶器の多くは刃物などの鋭利な道具であり、「息子は被害者が父親か母親かによって凶器の選択が異なる傾向がある」と研究は指摘している。その他、銃器や鈍器、素手や足による暴行も多く、ダブル・パリサイドの約3分の1は銃によって行われていた。
また、娘による親殺しの約半数、息子によるケースの3分の1以上が「口論の後」に発生していた。息子による親殺しの7%は金銭トラブルに起因しており、娘の場合はこの動機は確認されなかった。「息子が親に経済的支援を期待していた、遺言の内容を巡って対立していた、または生命保険や資産を得るために殺害したケースも含まれていた」と報告書は記している。
さらに、息子による事件の約5分の1は妄想状態で発生しており、多くが精神障害を理由に無罪となるか、過失致死罪に減刑されていた。一方で、娘が精神疾患を抱えていたのはわずか8%だった。研究者らは最後に、「パリサイドはオーストラリアでは依然として比較的稀な犯罪だが、その発生率は長年にわたり安定している。家庭内暴力への対応の中で、親への非致死的暴力が最終的に殺人へと至る状況をより重視する必要がある」と結論づけている。
ソース:news.com.au – Study reveals worrying insight into children who kill their parents