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海岸に漂着した謎の油脂ボールの正体が判明

【NSW25日】   昨年から今年にかけてシドニーの各地のビーチに漂着し、不衛生で悪臭を放つ「謎の油脂ボール(グリースボール)」の原因が、ついに明らかになった。環境当局の調査により、市内の下水処理システムが発生源であることが判明した。

この粘着性のあるタール状の脂肪の塊は、2024年10月から2025年2月にかけてシドニー沿岸に打ち上げられ、当局が調査を進めていた。今回の結果によると、海底へ放流される処理水の排出口トンネル内で再形成された可能性が高いという。

NSW州環境保護局(EPA)は25日に声明を発表し、マラバー下水処理システムが原因である可能性が最も高いと明らかにした。マラバー処理システムはシドニー西部郊外から約30kmにわたり広がっており、他の処理施設よりも工業廃棄物を多く含む汚水を取り込んでいることが、原因の特定につながったという。

EPAは「年内に調査を完了させ、シドニー・ウォーターが今後同様の事象を防ぐための対策を立てられるようにする」と述べた。NSW州水資源相のローズ・ジャクソン氏も声明で、「今後数十年にわたる数億ドル規模の維持・改修計画が進行中だ」とし、「シドニー・ウォーターは、新たなプログラムを通じて、下水システムに流入する脂肪、油、グリースの量を減らす取り組みを開始している」と述べた。

油脂ボールの漂着により、2024年10月以降、ボンダイ、ブロンテ、ディーワイ、フレッシュウォーター、ロングリーフ、マンリー、マルーブラ、カールカール(北・南)、ノース・ステイン、ノース・ナラビーン、クイーンズクリフ、タマラマなどのビーチが一時閉鎖されていた。

最初の漂着はクージー・ビーチで確認され、その後の分析で、当初想定されていた工業廃水よりも人間由来の排泄物が多く含まれていたことが分かった。検査では、食用油、石鹸カス、糞便、PFAS(有機フッ素化合物)、ステロイド系化合物、高血圧治療薬、農薬、動物用医薬品など、数百種類の成分が検出された。

高い脂肪分・油分・カルシウム濃度から、これらの塊は典型的なファットバーグであることが確認された。ファットバーグは、脂肪・油・グリースが冷却水によって固まり、ウェットティッシュなどのごみと結合して形成される。シドニー・ウォーターでは毎年約2万個のファットバーグが発生し、その除去に年間約2,700万ドルが費やされている。

CSIRO(豪州連邦科学産業研究機構)の2020年の報告では、マラバー処理システムが1日あたり54億~1,200億個のマイクロプラスチック粒子を海洋に放出していることも指摘されている。一方、より高度な処理を行うクロヌラ施設では1日あたり8,600万~3億5,000万個に抑えられているという。

1990年以前、シドニーの下水の80%は海岸線沿いに放出されていたが、3本の深海放流管の設置により、32kmにわたる沿岸域の細菌汚染は26〜99%減少した。現在、マラバー、ノースヘッド、ボンダイの各施設から排出される処理水は、海水で100倍〜1000倍に希釈され、海中に放流されている。

ソース:news.com.au – Authorities reveal cause of mystery debris balls which washed up on Sydney beaches in gross phenomenon

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