【ACT29日】 南へ向かう旅の途中だった若いザトウクジラが、NSW州沖のサメよけネットに絡まり、命を落とした。
体長約8m、推定2歳のこのクジラは、28日の朝、コールデールとウォンバラの間で網に絡まった状態で発見された。今年オーストラリア東岸で確認された15件目のクジラの絡まり事故であり、死亡が確認されたのはこれが初めてだった。
NSW州海上救助隊のスチュアート・マッシー監察官によると、現場の海況が悪化したため、救助隊はクジラの遺体の回収を断念したという。クジラの遺体はその後、同日の夜に海岸へと打ち上げられた。発見後、NSW州国立公園・野生生物局(NPWS)、オーストラリア鯨類救助研究機構(ORRCA)、海上救助隊が対応にあたった。
ORRCAのアシュリー・ライアン会長はABCニュースに対し、「このクジラは南極へ向かう途中でサメよけネットに絡まったようだ」と述べた。「クジラはネットに絡まって死亡した可能性が高いが、解剖を行わない限り、正確な死因は分からない。NSW州でクジラがネットに絡まることはあるが、このような死亡例は多くない」と語った。
NSW州一次産業・地域開発省(DPI)は、このクジラがコールデール・ビーチに設置されたネットに絡まったことを確認した。同ネットは州内に51基設置されている「サメ防護網計画(Shark Meshing Bather Protection Program)」の一部である。省の報道官は、ネットにはクジラを遠ざける音響装置「ホエール・アラーム」と、イルカ向けの「ピンガー(警告音)」が取り付けられていると説明した。
今回の悲劇は、9月にQLD州沖で相次いだクジラの絡まり事故に続くものだ。ヌーサでは母子クジラが数時間ネットに捕まり、レインボー・ビーチ沖では別の母子クジラがサメよけネットを100km以上引きずって泳ぎ、ようやく解放されたという。環境団体は以前から、サメよけネットや釣り用ドラムラインを、ドローン監視や海水浴場の警報システムなど、より現代的で殺傷性のない技術に置き換えるよう求めている。
動物保護協会(RSPCA)のデータによると、QLD州だけでも昨年、サメ対策プログラムによって1600頭以上の海洋生物が捕獲され、そのうち980頭以上が溺死や傷害で死亡したという。
ウーロンゴン市議会は、今後数日以内にクジラの遺体を撤去する予定で、ORRCAとNPWSが死因特定のための解剖を行う見通しだ。
ソース:news.com.au- Juvenile humpback whale found dead after becoming entangled in NSW shark net