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精神疾患増加で789億ドル規模の所得支援制度に負担

【ACT6日】   オーストラリアの所得支援制度が、利用者の急増によって大きな圧力にさらされている。特に精神的な健康問題の増加により、労働市場から離脱する人が増え、現在では800万人以上が何らかの支援を受けている。

モナシュ大学とスーパーフレンドが、オーストラリア生命保険協会向けに行った分析によると、所得支援に頼る人は過去10年で約200万人増加し、すべての主要制度で需要が拡大している。調査は、企業の病気休暇や労災補償、社会保障、年金、生命保険など11の制度を対象としており、現代の健康問題に制度が追いついていない実態が浮き彫りとなった。

スーパーフレンドの研究責任者であるロス・アイルズ氏は、「明確な支援ルートが存在しないことが問題を深刻化させている」と指摘する。体調不良で働けない人にとって、どこに申請すればよいか分かりにくく、制度が複雑だという。また、長期間働けない状態が続くほど、職場復帰の可能性が低下するとも述べ、「仕事への参加は身体面・精神面の両方において健康に良い影響がある」と強調した。

特に精神疾患は、現在、主要な所得支援制度における申請の約30%を占めており、就労離脱や回復の長期化に大きく影響している。短期的な支援は主に雇用主による有給病気休暇で、約750万人が利用しているが、多くの人がこれを使い切った後、長期支援制度へ移行し、その段階で復職率が低下する。

制度別では、若者向け給付で精神疾患関連が55%と最も高く、次いで就労能力が制限された求職者支援(45.7%)、障害年金(40%)と続く。生命保険分野でも影響は大きく、完全障害保険(TPD)の請求の31%、所得補償保険の20%が精神疾患によるものとなっている。

報告書は、精神疾患が予測しにくい回復過程をたどることが、制度に負担をかける要因だと指摘する。症状が断続的に現れるため、繰り返しの審査が必要となり、判断も主観的な医療証拠に依存するため、制度全体が複雑化している。さらに、支援制度が分断されていることも問題だ。福祉、労災、保険、年金、退役軍人支援など11の制度が独立して存在し、人々はそれらの間を行き来する中で手続きの重複や遅延に直面する。その結果、半数以上の人が7〜15か月間無収入の期間を経験し、貯蓄の取り崩しや資産売却を余儀なくされている。

生命保険会社は全体の約11%にあたる83億豪ドルを負担し、約5万5000人を支援しているが、多くの場合、離職から約3年後に申請が行われるなど、対応が遅れる傾向にある。

一方で、早期介入の有効性も示されている。「あなたの未来(Your Futures)」プログラムでは、平均4.1年離職していた参加者のうち38%が6か月以内に復職し、非参加者の12%を大きく上回った。また、VIC州やNSW州での制度改革により、ストレスや燃え尽き症候群など一部の精神疾患の労災認定が厳格化されており、これにより申請が却下された人々が他の制度へ流れ、別の分野に負担が移る可能性も指摘されている。

ソース:news.com.au – Australia’s $78.9bn income support system under strain as mental health claims surge

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