【ACT31日】 長年にわたり医師に信じてもらえなかった女性たちが、画期的な名称変更を歓迎している。専門家からも「遅すぎたくらいだ」と評価されている。
これまで医療制度の中で「完全に無視された」と感じながら深刻な症状と闘ってきた女性たちは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の名称変更に安堵している。この疾患は新たに「多内分泌代謝性卵巣症候群(PMOS)」と再定義され、世界で1億7000万人以上の女性に影響を与える生涯にわたるホルモンおよび代謝の疾患とされている。
主な症状には、不規則な月経、重度のニキビ、体毛の増加、体重増加、不妊の可能性などが含まれる。これまで誤診や診断の遅れが広く見られ、多くの女性が適切な診断を受けられず、自ら訴え続けなければならない状況に置かれていた。中には正しい診断までに最大12年かかったケースもある。
リプロダクティブヘルス(生殖医療)の提唱者ハンナ・バンブラさんは、PMOSの診断を受けるまで5年かかったといい、今回の変更を歓迎している。「新しい定義は自分の経験をより正確に反映している」と語った。バンブラさんは卵巣に嚢胞がなかったため、正式な診断を受けるのに苦労し、治療や生殖医療へのアクセスが遅れたという。
この再定義はオーストラリアの医療専門家が主導し、「長年待たれていた変更」と評価されている。診断の混乱を解消し、不妊治療研究の進展にもつながると期待されている。医療従事者への再教育や制度への反映には約3年かかる見込みだが、実務上はすぐに診断アプローチが変わる可能性がある。というのも、一部の専門家は以前から「この疾患は嚢胞とは無関係」と認識していたためだ。
オーストラリア王立一般開業医会の女性健康専門家マグダレナ・シモニス医師は、従来の名称は当初から誤解を招くものだったと指摘する。研究により、疾患の有無に関係なく嚢胞の数が多い女性が存在することが分かり、診断から嚢胞の要素を排除できるようになったという。
「今後は他の症状がない限り、超音波検査は不要になる」と述べ、これは大きな進展だと強調した。また、画像診断で複数の嚢胞が確認された患者に対し、実際にはPMOSではないと説明するのは困難で、医療不信を招く原因にもなっていたという。さらに「PMOS」という名称についても、「この慢性的な内分泌疾患の影響を正確に表現している」と評価した。
この変更により、疾患は卵巣よりもむしろ膵臓が重要な役割を持つ複雑な代謝疾患として捉えられるようになり、糖尿病や心疾患のリスクが高まることも指摘されている。「PMOSの鍵はインスリン抵抗性だ。インスリンは膵臓が分泌するもので、卵巣ではないが、その影響は卵巣や性ホルモン、コルチゾールにも及ぶ」と説明した。
オーストラリア・ニュージーランド不妊学会の副会長で専門医のサイモン・マクドウェル医師も、この変更を「待望のもの」と歓迎している。明確な定義により、より精度の高い研究が可能になると期待している。世界的に出生率が低下する中、この変更はその対策の一部としても重要視されている。
この名称変更は身体面だけでなく、精神面への影響にも関わる。臨床心理士で不妊カウンセラーのイオランダ・ロディノ氏は、これまで診断されていなかった患者において、精神的な影響が軽視されてきた可能性があると指摘。長年にわたり訴えが軽視されてきたことで、自信や自己肯定感に大きな影響を受けた人も多く、誤解された経験が喪失感や悲しみを生んでいるという。
PMOSの症状がある人には心理的サポートの活用を勧めている。
従来の名称のもとでは、最大70%が未診断とされ、うつや不安、ストレス、睡眠障害、ボディイメージの問題、摂食障害などの精神的影響が、単なる生活環境によるものとして軽視されていた可能性があるという。今回「多内分泌」や「代謝」という言葉が明示されたことで、こうした精神的苦痛がホルモンや代謝の異常に起因する生理的症状であると認識されるようになったと強調した。
ソース:news.com.au – Woman waiting 5 years for a diagnosis felt ‘entirely dismissed’