【ACT3日】 オーストラリア政府は、高齢者向け在宅ケアの追加措置として2万件の新たな枠を10月末までに提供する方針を明らかにした。高齢化に伴う需要増に対応するためで、上院で足止めされていた高齢者介護関連法案をめぐる行き詰まりを解消する狙いがある。
マーク・バトラー保健相は3日、連立野党や無所属議員からの強い要求を受け入れ、在宅ケアパッケージを前倒しで提供すると発表した。さらに、12月末までに追加で2万件を供給し、残りの約4万3千件については2026年前半に導入を進めるという。労働党政権は当初、8万3千件の枠を7月から展開する予定だったが、業界団体との協議を踏まえ11月に延期していた。今回の譲歩は、連立や緑の党、独立系議員が「待機者への支援が急務だ」として法案を阻止したことを受けたもの。
オーストラリア保健省によると、支援の査定を待つ人は12万人を超え、承認済みにもかかわらずサービス提供を待っている人も8万7千人に上る。7月末時点では約10万9千人が全国優先リストに登録されていた。バトラー氏は「高齢者介護サービスの需要は今後急激に拡大する。数年後には施設介護でも大きな需要増が押し寄せる」と述べ、予算への圧力を認めた。追加費用については、12月に公表予定の年央経済財政見通しで示す。
野党党首のスーザン・リー氏は「高齢者にとっての勝利」と強調し、「労働党は渋々受け入れざるを得なかった」と政府の対応を批判。連立のアン・ラストン上院議員も「私たちは高齢者のために立ち上がり、政府に前倒しを認めさせた」と語った。一方、独立系のデイビッド・ポコック議員は、今回の判断を評価しつつ「政府は無所属を排除しようとする姿勢を強めている」と懸念を示した。
ソース:news.com.au – Health Minister Mark Butler confirms 20,000 extra Home Care packages for older Aussies to remove Senate deadlock