【NSW26日】 多くの人がパンを皿にのせて食べる一方、シドニー在住の写真家・小野一秋さんは、パンをオーストラリア各地の大自然に置いて撮影した。WA州のピナクルズ砂漠、シドニーのボンダイビーチ、タスマニアのヒューオン川などが舞台だ。
写真プロジェクト「サザン・クラスト(Southern Crust)」のため、国内24のベーカリーを訪問。長距離移動や悪天候、ヘビとの遭遇を乗り越えながら、オーストラリア独自のパン文化を記録した。
この企画は、2025年10月に東京で開催された展覧会への参加を依頼されたことがきっかけだった。商業写真家であり、シドニーで妻とベーカリー「Akipan」を営むパン職人でもある小野ならではの視点が生かされている。取材対象は、地域に根ざした家族経営の小さなベーカリー。100年続く薪窯の店や、壮大な景色に合わせて撮影場所を探し回った一枚など、パンと風景が響き合う写真が並ぶ。
昨年10月に東京で展示された際、小野さんの目的はパンだけではなかった。「オーストラリアに来て、自分の目で文化を見てほしい。それが伝えたかった」と語る。このプロジェクトを通じて、各地でベーカリーが「地域のハブ」として機能していることを実感した。また、職人同士の交流も貴重な経験だったという。
東京での展示は終了したが、今後もこのプロジェクトを続け、より多くの人に届けたいと考えている。「これは写真展にとどまらない。オーストラリアの人たちにも見せたい」。そう語りながら、彼は次の撮影に向けて歩み続けている。
ソース:abc.net.au – Kazuaki Ono’s photo exhibition Southern Crust melds Australian scenery with our bakery culture