【SA14日】 SA州で3月から続く有害藻類ブルーム(赤潮)が、海洋生物の大量死や沿岸地域の経済崩壊を引き起こしており、専門家はNSW州、VIC州、TAS州、QLD州でも同様の事態が起こり得ると警告している。
今回のブルームはSA州の海岸線の約30%に広がり、州の漁業や観光業を混乱させている。上院による調査公聴会では、漁師が数か月間イカや魚をまったく獲れなくなった実態や、600km離れた西海岸まで遠征を余儀なくされる現状が報告された。有害藻類は約5万種ある藻類のうち200種ほどで、毒素を生成し海洋生物を死滅させる。今回確認されたカレニア属は、1989年や2003年にはタスマニアで養殖サケを全滅させ、2010年にはNSW州で貝類の出荷停止を招いた前例がある。
SA州の今回の発生要因としては、2024年秋からの海洋熱波による海水温の上昇、2022~23年のマレー川洪水による栄養塩流入、2023~24年夏の湧昇流による栄養豊富な冷水の上昇、という三つの要素が複合的に作用した可能性が指摘されている。
しかし、根本原因や今後の進展については科学的知見が不足しており、フリンダース大学のチャーリー・ヒュベネールス博士は「基礎データや継続的なモニタリングが欠けている」と問題を指摘。海洋生物学者のシャナ・マレー教授は「これまでNSW州などが大規模被害を免れてきたのは“運”にすぎない。私たちは現状を理解し、備える必要がある」と述べた。
現在、オーストラリアとニュージーランドの研究ネットワークは、国家レベルでのモニタリングと研究体制構築への緊急資金投入を求めている。SA州政府と連邦政府は共同で2,800万豪ドルの支援策を発表し、その一部を研究に充てるとしている。上院調査は今月24日にキャンベラで最終公聴会を開く予定だ。
ソース:news.com.au – Marine scientists warn Australia at risk from future harmful algal blooms