【ACT14日】 男性が圧倒的に多い業界で、ジェンダー平等がむしろ後退していることが新たな政府報告で明らかになった。女性の採用や昇進が進まず、「男性ばかりが出世する」構造が依然として根強い。
政府機関「職場ジェンダー平等庁(Workplace Gender Equality Agency:WGEA)」が14日に発表した最新報告書によると、建設、鉱業、運輸、製造といった“男社会”の産業では、男女比の改善が見られないどころか、さらに悪化している企業もあるという。「一部の業界では前向きな変化の兆しも見られるが、オーストラリアの産業構造は依然として強く分断されている。男性が多い業界では、最もジェンダーバランスの取れていない労働力構成が見られ、進展がないどころか後退している」と報告書は指摘している。
報告書は、女性を技術職・職人職へと誘導するための職業訓練制度の設計や採用キャンペーン、また女性ロールモデルの登用を推進策として挙げた。「この男女分離が是正されない限り、オーストラリアの労働力における男女平等の国家的目標を阻み、人材不足を悪化させ、生産性を制約するだろう」と警鐘を鳴らしている。
WGEAとバンクウェスト・カーティン経済センターが共同で実施した調査では、男女比が均等なリーダーシップ体制を持つ企業は、そうでない企業に比べて平均1億豪ドル(約100億円)企業価値が高いことが判明した。また、女性が経営陣の40%以上を占める企業は、より高い利益率を誇る傾向があるという。現在、オーストラリア証券取引所(ASX)上場企業の取締役の約4割を女性が占めているが、CEOや執行役員クラスでは女性比率はわずか25%にとどまる。
一方、サービス業、芸術・レクリエーション、金融業界ではバランス改善の動きが進んでいるものの、ジェンダーバランスが取れた職場を持つ企業は全体のわずか27%に過ぎない。
報告書の共同執筆者であるアラン・ダンカン教授は、「男女平等は単なる公正の問題ではなく、健全な経営戦略だ。平等施策に投資する企業は賃金格差を縮小させるだけでなく、より強くしなやかな組織を築いている。一方、何もしない企業は優秀な人材を失い、将来のリーダー候補も枯渇するだろう」と警告している。
ソース:news.com.au – ‘Lack of progress’: Blokey industries getting worse on gender-balance numbers