【ACT12日】 オーストラリアへの移民流入が過去最高を更新している。公共問題研究所(Institute of Public Affairs, IPA)の発表によると、2025年1月から9月までのわずか9カ月間で、永住者および長期滞在者の純流入数が41万5760人に達し、過去最高だった2024年を上回った。
IPA副所長のダニエル・ワイルド氏は「2025年の最初の3四半期は、記録上最も多い純永住・長期滞在者数を記録した」と述べ、移民の急増が前例のない規模であることを強調した。
オーストラリア統計局(ABS)の最新データによると、2024年9月末までの12カ月間では46万8390人の純流入があり、これも過去最多。前年比で約4%増加している。また、2025年9月単月でも純流入は3万5890人に上り、過去2番目の高水準を記録した(1位は2023年9月)。
ワイルド氏は「高水準の移民流入はもはや“新しい常態”になっている。連邦政府の“大きなオーストラリア”政策が完全に動き出している」と指摘。さらに、パンデミック後の移民増加は、コロナ禍での人口減少を補うだけでなく、出生率の低下による自然増の鈍化を埋め合わせる形になっていると述べた。
一方で、「この制御不能な移民流入の責任は移民にあるのではなく、政府の政策そのものにある。現状は明らかに持続不可能だ」と批判した。また、現在の移民政策が国民の意向や経済的優先課題を反映していないと懸念を表明し、「住宅、公共インフラ、医療や教育などのサービスがこの急速な人口増加に追いつけない中、移民受け入れを一時的に抑制すべきだと考える国民が増えているのも当然だ」と語った。
なお、IPAの分析に基づく数値は「純永住・長期滞在者数」であり、政府が公表する「海外純移民数(Net Overseas Migration)」とは異なる。後者は「12/16ルール」(16カ月のうち12カ月以上滞在した場合を移民としてカウント)に基づくが、前者は今後の移民動向を示す早期指標として財務省人口センターでも重視されているという。
ソース:news.com.au – Australia records highest net migrant arrivals ever, experts warn of unsustainable growth