【SA8日】 ボンダイで起きた悲劇を受け、「文化的な配慮」を理由に、著名なパレスチナ系オーストラリア人作家が大規模文学フェスティバルの出演者ラインアップから外された。
アデレード・ライターズ・ウィークは、パレスチナ系オーストラリア人作家で学者のランダ・アブデル=ファッター博士をプログラムから除外したことを明らかにした。主催者側は、ボンダイでの事件後の状況を踏まえ、「文化的感受性」への懸念があったとしている。
2025年刊行の著書『Discipline』に関連して出演予定だったアブデル=ファッター博士は、2026年のイベントに参加しない旨を8日に通告された。同日朝には、ライターズ・ウィーク公式サイトから彼女のプロフィールが静かに削除された。
アデレード・フェスティバル理事会は声明で、数週間にわたる内部検討の結果、この決定に至ったと説明した。「アブデル=ファッター博士やその著作が、ボンダイの悲劇と何らかの関係があると示唆するものでは決してない。しかし、過去の発言を踏まえ、ボンダイ事件から間もないこの前例のない時期において、同氏をプログラムに含め続けることは文化的に配慮を欠くと判断した」
理事会は、この決定が致命的なボンダイ事件を受けた広範な内省の中で行われたものであり、国全体の悲しみや地域社会の緊張が高まっている状況を背景にしていると説明。ピーター・マリナウスカス州首相の広報担当者は、首相が理事会の判断を支持していると明らかにした。
この決定にはすでに反発も出ている。8日、オーストラリア研究所(The Australia Institute)は、今年のフェスティバルへの支援およびスポンサー提供を撤回すると発表した。
同研究所は声明で次のように述べている。「当研究所はこれまで、勇気、表現の自由、思想の交換を促進してきた本イベントでの議論に参加してきた。作家を検閲、あるいは出演取りやめにすることは、自由で開かれた思想交流の精神に反するため、今年の文学フェスティバルへの支援および協賛イベントから撤退する」
アブデル=ファッター博士の出演取りやめは、イスラエルとパレスチナをめぐる国内議論が激化する中で起きた。未発表のライターズ・ウィークのプログラムの一部では、ガザ情勢や10月7日以降の影響を扱う予定で、「反ユダヤ主義とは何を意味するのか?」と題したセッションも予定されている。
今回の決定は、アブデル=ファッター博士の学術活動に対する長期調査が終了した直後でもある。先月、マッコーリー大学での研究に関し、10か月に及ぶ調査の結果、不正行為はなかったと結論づけられた。この調査は2025年2月、ジェイソン・クレア連邦教育相が、研究費の使途や利益相反の可能性についてオーストラリア研究評議会(ARC)に調査を要請したことを受けて始まった。
2022年に、アラブ系・ムスリム系オーストラリア人の社会運動に関する研究のために交付された87万豪ドルのARC助成金は、2025年初めに一時停止されたが、12月に復活している。
理事会はまた、アブデル=ファッター博士の出演取りやめとあわせて、ライターズ・ウィークのプログラム全体について正式な見直しを行い、新たな小委員会を設置すると発表。この決定が物議を醸すことを認めた。理事会は、ボンダイ事件後の定期的な協議を通じて州政府に状況を報告しており、今後数日以内にライターズ・ウィーク参加者や関係者へ連絡するとしている。
なお、ライターズ・ウィークにおけるパレスチナの声をめぐる論争は、今回が初めてではない。
2023年には、パレスチナ系アメリカ人作家スーザン・アブルハワ氏や、パレスチナ人詩人モハメド・エル=クルド氏の参加をめぐり、スポンサーの撤退やウクライナ人作家の出演辞退が相次ぎ、アドラー氏の辞任を求める声も上がった。当時、マリナウスカス州首相はフェスティバルを擁護することも検討したが、「政治家が何が文化的に適切かを決める未来への道」になるとして、最終的に介入を退けていた。
ソース:news.com.au – Adelaide Writers’ Week drops Palestinian author Dr Randa Abdel-Fattah after Bondi tragedy, cites ‘ culturally sensitive’ concerns