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留学生への賃金未払い年間31.8億ドル規模

【ACT7日】   偽装請負や給与明細の改ざん、スーパーアニュエーション(年金積立)の未払いなど、オーストラリアの雇用主による外国人労働者への搾取が広がっていることが、新たな報告書で明らかになった。

移民労働者支援団体の移民労働者正義研究所が公表した「オフ・ザ・ブックス」報告書は、オーストラリア史上最大規模となる一時滞在ビザ保有者を対象とした調査に基づくもの。2023年から2024年にかけて働いていた8370人の移民労働者を調査した結果、3分の2が労働法で定められた賃金を下回る給与しか受け取っていなかったことが判明した。さらに5人に1人は、時給ベースで少なくとも10豪ドル以上少ない賃金しか支払われていなかった。

また、賃金の未払い額が大きい労働者ほど、虚偽の給与明細、スーパーアニュエーション未払い、不当な給与天引き、さらには偽装請負契約の被害を受けている割合が高いことも分かった。報告書によると、留学生だけでも毎週約6100万豪ドル、年間では31億8000万豪ドル分の賃金が未払いとなっているという。すべての移民労働者を含めれば、実際の未払い総額は「はるかに高額になる」と指摘している。

オーストラリアの労働法では、移民ステータスに関係なく、すべての労働者に最低賃金が保障されている。通常は業界ごとのアワード(裁定賃金)や労使協定によって定められ、適用対象外の場合でも全国最低賃金を受け取る権利がある。

さらに、回答者の34%は少なくとも1つの「強制労働の兆候」を経験していたことも判明した。これは現代奴隷制の一形態とされる。具体的には、危険な環境での労働、契約以上の長時間労働、休憩なしの勤務、辞めたくても辞められない状況などが含まれていた。

オーストラリア反奴隷制コミッショナーのクリス・エヴァンス氏は、「これは一部の悪質雇用主による孤立した問題ではない。この制度自体が大規模な脆弱性を生み出し、それを悪用する雇用主を可能にしている」と指摘。さらに、「場当たり的な対策では、この根深い搾取文化を変えることはできない。取り締まり強化は個々の被害者を助けるが、制度そのものは変えられない」と述べた。

同氏は制度全体の「リセット」が必要だと主張。「搾取を助長する脆弱性を取り除き、移民労働者への公正な待遇を実現しなければならない」と訴えた。また、アンソニー・アルバニージー首相に対し、移民政策、労働政策、高等教育、反奴隷制対策を横断的に統合した対応を協議するため、国家内閣を招集するよう求めた。留学生に対するビザ費用や学費負担、安全かつ合法的な就労環境へのアクセスについても見直しが必要だとしている。

報告書では、全国的な労働者派遣業ライセンス制度の創設、不正隠蔽への取り締まり強化、内部告発者保護の拡充、就労司法ビザへのアクセス拡大などを提言した。また、2022年および2024年にアルバニージー政権が実施した労使関係改革については「正しい方向への一歩」と評価しつつも、「報告書で明らかになった移民労働者への広範かつ意図的な賃金未払い問題に対処するには不十分」と結論づけた。

ソース:news.com.au – International students cheated out of$3.18bn in annual wages, new report finds

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