【ACT13日】 オーストラリア政府は、移民政策をめぐる議論が激化する中、技能審査の厳格化や国内在住者の優先を柱とする新たな方針を打ち出した。
アルバニージー政権は、学生ビザの審査強化とともに、すでに国内に滞在している移民を優先する方針を表明。移民を巡る議論が新たな段階に入った。
今回の発表では、移民受け入れ枠を18万5000人に設定。このうち約7割にあたる13万2240人が技能移民枠に割り当てられる。また、約12万9950人分は国内在住者向けに確保され、残りの約5万5110人は主に高度技能人材向けとなるほか、特別枠として300人分が設けられる。
海外からの純移民数(ネット)は、2025〜26年度の29万5000人から、2026〜27年度には24万5000人へ減少する見通し。その後は2027〜28年度以降、年間約22万5000人で安定すると予測されている。
政府は永住型の技能移民に適用されるポイント制の見直しも実施する。これにより、生産性向上や長期的な経済成長に貢献する人材をより適切に選別できるようにする狙いだ。現在、技能移民の約3分の2がこのポイント制によって選ばれている。改革には4年間で約8500万豪ドルが投じられ、そのうち7510万豪ドルは技能評価機関「トレード・レコグニション・オーストラリア」による新たな審査システム構築に充てられる。
さらに、国内在住のビザ保持者向けの新たな技能評価制度に約500万豪ドル、審査機関の監督強化に450万豪ドルが割り当てられる。
ワーキングホリデー制度も見直され、抽選制度の拡大などにより人数管理を強化しつつ、就労の障壁を減らす方針。
また、移民制度の信頼性向上のため「技能移民コミッショナー」設置の検討も開始され、関連施策に4年間で約1億6740万豪ドルが投入される。この中には、保護ビザ制度の悪用対策として裁判手続きの効率化を図るため、連邦裁判所などに7400万豪ドル以上が配分されるほか、システム強化や学生ビザ審査の厳格化にも資金が充てられる。
2026年の留学生受け入れ開始数は29万5000人と設定され、2025年より2万5000人増加する見込みだ。
野党党首のアンガス・テイラー氏は移民削減を掲げ、住宅不足の緩和につながると主張。ただし具体的な上限は示していない。また「オーストラリアの価値観を中心に据えた移民制度」への見直しを提唱し、「過激思想を持つ人物の流入を防ぐべきだ」と強調した。
一方、右派政党ワン・ネーションは、年間ビザ発給数を13万人に制限し、学生ビザの抜け道の廃止や不法移民の強制送還、さらには市民権取得までの待機期間を8年に延長するなど、より厳しい政策を提案している。
アルバニージー首相も、コロナ後の移民急増を受けて留学生政策の引き締めなどを進めており、ボンダイビーチのテロ事件後には反ユダヤ主義や人種差別的思想に対する審査強化も打ち出している。2026〜27年度予算では、国境警備の強化にも8860万豪ドルが投入され、そのうち1830万豪ドルが人身密輸対策として連邦警察や国境警備隊に充てられる。
国内の州間人口移動は概ね安定しており、NSW州からの転出は約2万1400人で横ばい。一方、QLD州は約1万7300人の転入増が見込まれている。SA州は2000人の人口減少が予測され、前年度の700人減から拡大。ACTは600人減と減少幅が縮小し、ビクトリア州は3300人の人口増が見込まれている。
ソース:news.com.au – Migrants in Australia to be prioritised, skills testing reformed as migration debate heats up