【NSW20日】 オーストラリア有数の経済規模を持つNSW州が、中東での戦争再燃の懸念を受け、経済成長見通しを大幅に引き下げた。
ダニエル・ムーキー州財務相は、来年度のNSW州経済の成長率予測を従来の2.5%から1%へと引き下げたことを明らかにした。予算発表を数週間後に控える中での今回の発表は、アメリカとイスラエルによるイランとの戦争がオーストラリア経済に与える影響の大きさを示す最新の兆候とされる。
ムーキー氏は20日、シドニーのマッケル研究所での講演で、「州財務省は6月予算で経済成長見通しを大幅に引き下げる」と説明する見通し。「仮に中東の戦争が今日終結したとしても、ガソリン価格がすぐに下がるわけではない。石油市場が正常化するには時間がかかるだろう。昨年12月時点では2026〜27年に2.5%の成長を見込んでいたが、現在は来年の成長率はわずか1%と予想している」と述べる予定だ。
NSW州政府は異例にも、予算の1か月前に経済見通しを公表する。ムーキー氏はまた、景気減速が国内の他州よりNSWでより顕著であると指摘する見込みだ。「単純な理由は、高インフレが高金利を招き、消費支出を抑制しているためだ」とし、「これは中央銀行が金利を引き上げた目的でもある」と説明。さらに「より複雑な理由として、金利上昇はすべての州の労働者に影響するが、NSWではその影響がより大きい」と述べる。
現在NSW州で新たに住宅ローンを組む一般家庭の借入額は平均87万3000豪ドルに達する見込みで、VIC州の約67万7000豪ドルと比べて28%高いという。「そのため、金利が下がればNSW経済はより恩恵を受けるが、上がればより大きな打撃を受ける」と説明した。
NSW州労働党政権は、来年初めの選挙を前に、支持を伸ばす右派ポピュリスト政党ワンネーションへの対応にも直面している。ポーリン・ハンソン氏率いる同党は今月、連邦下院ファラー選挙区で勝利し、南オーストラリア州選挙でも健闘した。ムーキー氏は、連邦自由党が州のネットゼロ政策に反対するにあたり「ワンネーションと歩調を合わせている」と批判。
州自由党はこれまでネットゼロ目標を支持していたが、連邦レベルでの右傾化の影響を受け、方針を巡る圧力が高まっている。ムーキー氏は、「州自由党が連邦自由党やワンネーションと同じ立場なのか分からない」とし、明確な立場表明を求めた。また、「ネットゼロ政策に反対することは、NSWの景気後退を招く運動に等しい」と警告した。
一方で、再生可能エネルギー事業や送電網整備への投資が進んでいることから、NSW経済は景気後退を回避できる見通しだと強調。「ネットゼロは健全な経済戦略であり、NSW州はそれをいち早く理解した州だ」と述べた。
ソース:news.com.au – Projected economic growth in NSW slashed by 1.5 per cent as Treasurer blames inflation, war in Iran