【ACT15日】 キャンベラの男性が自発的安楽死(VAD)を求めた申し立てで、ACT民事行政審判所は、男性に意思決定能力があると認めた一方で、申請の前進にはつながらない判断を下した。
この男性は、複数の持病により深刻で悪化する痛みに苦しみ、最終的には死に至ると主張して、準州の新しい法律に基づきVADを申請していた。しかし最初に評価した担当医は、男性の状態について「進行性ではなく、死に至る見込みもない」と判断した。
審判所は、この医学的判断については審査する権限がないとし、その結果、申請は現時点で進められない状態となった。審判理由では「現時点では申請者は自発的安楽死にアクセスできない」と明記された。
男性は、自身の3つの疾患が慢性的な痛み症候群を引き起こし、合併症や耐え難い苦痛により最終的に死に至る可能性があると主張。また、この点を審査できないのは人権保護の観点から問題だとして、法律の広い解釈を求めた。しかし審判所は、「たとえ法律の目的や人権との整合性からアクセスが望ましいとしても、法律自体を書き換えることはできない」としてこの主張を退けた。
一方で、意思決定能力については男性側の主張が認められた。
15年以上担当しているかかりつけ医は、「患者は自身の病状や予後、治療の選択肢(緩和ケアを含む)、それぞれの結果を理解し、明確かつ一貫して意思を示すことができる」と証言した。当初の担当医も、評価時点では能力が「不明」だったとし、その後理解が深まった可能性を認め、審判所の判断に異議はないと述べた。
審判所は「申請者に意思決定能力がないとは認められない」と結論づけ、この判断は本人の自律性や人間の尊厳に関わる重要な意味を持つと指摘した。
ACTのVAD制度は2025年11月3日に開始された。利用には成人であること、原則として12か月以上ACTに居住していること、死に至ると見込まれる進行性疾患により耐え難い苦痛を受けていること、意思決定能力があること、そして強制されていないことなどの条件がある。他州と異なり、余命の具体的な期間は定められていないが、「死に至る見込み」が必要条件とされている。
今回の判断により、男性は別の認定医に改めて申請するか、ACT最高裁判所に申し立てるなど、他の手段を検討する必要がある。
ソース:news.com.au – ACT tribunal finds man has decision-making capacity but still blocks voluntary assisted dying application