【ACT9日】 中国が核搭載可能なミサイルを太平洋に向けて発射してから数日後、オーストラリアとインドは軍事協力を新たな段階へ引き上げている。
オーストラリアは、日本およびアメリカとの4か国枠組み(クアッド)に実効性を持たせるため、インドとの軍事協力を強化している。関係筋によると、これは中国の軍事力拡大への懸念の中で、アメリカの関与を維持する狙いもある。
アンソニー・アルバニージー首相とインドのナレンドラ・モディ首相は9日、「自由で平和かつ安定し繁栄するインド太平洋地域」の実現に向け、防衛関係を強化することで合意した。この合意には、「共通の利益に影響を与えるインド太平洋地域の防衛関連の動向について協議する」ことが盛り込まれており、日本との同様の取り決めを踏襲している。
アルバニージー首相は「ますます厳しさを増す国際環境の中で、我々の防衛・安全保障協力はインド太平洋地域の平和と安定、繁栄のための力となる」と述べた。また「防衛・安全保障協力に関する共同宣言は、戦略的な連携の深化と、この地域に対する共通のビジョンを示すものだ」と強調した。
今回の協議は、中国が南太平洋に核搭載可能なミサイルを発射した直後に行われた。モディ首相はこのミサイル発射には直接言及しなかったものの、「地域のさまざまな問題について詳細な議論を行った」と述べた。さらに「世界各地での緊張や紛争は対話と外交によってのみ解決できる」とし、「インド太平洋地域において平和、安定、航行の自由、法の支配に基づく秩序を共に実現していく」と語った。
オーストラリア、インド、日本、アメリカは、中国の影響力拡大を抑制する戦略的枠組み「クアッド」のメンバーである。2024年の首脳会合では、当時のアメリカ大統領ジョー・バイデンが、中国の習近平国家主席について「外交的余地を確保しつつ、中国の利益を積極的に追求している」と発言していた。バイデン氏は「中国は南シナ海や東シナ海、南アジア、台湾海峡などで攻勢的な行動を続けている」と指摘していた。
一方、後任のドナルド・トランプ大統領はクアッドに対して同様の重視姿勢を示しておらず、国務長官のマルコ・ルビオは、この枠組みを「実行のための手段」に進化させる必要があると述べている。こうした背景から、オーストラリア、日本、インドは軍事協力の強化を進めているとみられる。
専門家によると、中国のミサイル発射は能力誇示だけでなく、インド太平洋諸国の反応を試す狙いもある。また、台湾有事の際に台湾海峡を超えて広範囲に軍事的圧力をかけられることを示唆するものだと分析されている。
核保有国であるインドは、中国に対抗するうえで軍事・経済の両面で重要な位置にある。両国は長い国境を接しており、さらに中国の石油輸送の約8割が通過するマラッカ海峡にもアクセスしやすい地理的優位性を持つ。
一方、モディ首相の訪問に合わせ、メルボルン中心部では抗議活動も発生した。シーク教徒の分離独立派がカリスタン旗を掲げて抗議するなど、一部で緊張が見られた。オーストラリア連邦警察は、今後も抗議活動が続く可能性に備えているとしている。
アルバニージー首相は、今回のイベントでモディ首相を「両国をつなぐ生きた架け橋」と表現した。また、今年後半にはオーストラリア・ビジネス評議会が貿易使節団をインドへ派遣する予定だと述べた。
さらに、ディーキン大学が外国大学として初めてインドにキャンパスを設置したことや、現在8つの分校が運営または承認されていることにも触れた。インド出身のオーストラリア人が最大の海外出生コミュニティとなっている点にも言及し、「オーストラリアの多文化主義は理念ではなく、現実として存在している」と強調した。
ソース:news.com.au – Australia, India boost military ties after China missile test