【ACT21日】 オーストラリアが、皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)の治療における大きな進展の中心となっている。
2024年の「オーストラリアン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したジョージナ・ロング教授が主導した国際共同臨床試験で、手術後の再発リスクが高い患者の治療法を大きく変える可能性のある成果が得られた。
製薬会社モデルナとメルクが共同開発した個別化mRNA治療を、免疫療法薬ペムブロリズマブと併用したところ、mRNAを用いたがん治療として初めて、第3相臨床試験で良好な結果が確認された。この試験には、腫瘍を完全に切除したものの、再発リスクが高いメラノーマ患者が参加した。
ロング教授は、2024年の「オーストラリアン・オブ・ザ・イヤー」をリチャード・スコラー教授と共同受賞しており、今回の試験では主任研究責任者を務めるとともに、オーストラリア・メラノーマ研究所の医療ディレクターも務めている。同教授は今回の成果について、「手術後もメラノーマの再発を恐れながら生活している患者にとって、大きな前進だ」と述べた。
「リンパ節や遠隔部位に転移したメラノーマを手術で切除した後でも、再発の危険性は常に残っている。今回の結果は、インティスメラン・オートジーンをペムブロリズマブと併用することで、ペムブロリズマブ単独治療と比べ、がんの再発リスクを大幅に減らせることを示した」
国際共同試験では、インティスメラン・オートジーンとペムブロリズマブの併用により、メラノーマの再発だけでなく、遠隔部位への転移も抑えられることが確認された。試験には、ステージIIB、IIC、III、IVの皮膚メラノーマ患者1,137人が参加した。全員が腫瘍の切除手術を受けており、これまで全身治療は受けていなかった。
参加者は無作為に2つのグループに分けられ、約1年間にわたり、個別化mRNA治療とペムブロリズマブの併用療法、またはペムブロリズマブ単独療法を受けた。ロング教授によると、この治療法は患者ごとにオーダーメイドで作製される。まず切除した腫瘍を解析して、その患者特有の遺伝子変異を特定し、その情報を基にmRNA治療薬を作製する。そして、患者自身の免疫系が、そのがん細胞を認識し攻撃できるよう促す仕組みだという。
「健康な人が病気を予防するために接種する従来のワクチンとは異なり、これは治療用ワクチンだ。すでにがんを患っている患者が、再発を防ぐことを目的としている」同教授は、この成果はメラノーマだけでなく、がん治療全体にとっても重要だと強調した。「患者一人ひとりのがんに合わせて設計したmRNA治療が、第3相試験で臨床的な有効性を示したのは初めて」
この成果は、世界でも特にメラノーマ患者が多いオーストラリアにとって、特別な意味を持つ。「オーストラリアでは、世界でも有数の高い割合でメラノーマが診断されている。また、若年層におけるがん死亡原因の一つでもある。手術後の再発リスクを減らせる治療法が実現すれば、非常に多くの患者に恩恵をもたらす可能性がある」
今回の試験では、新たな安全性上の問題は確認されなかった。今後も患者の追跡調査を続け、この治療法が生存期間の延長にもつながるかを検証する予定だ。
ロング教授は、この試験がmRNAを用いたがん治療として初めて第3相試験で有効性を示しただけでなく、個別化ネオアンチゲン療法としても初めて後期臨床試験で成功した点を特に高く評価している。さらに、主要評価項目だけでなく重要な副次評価項目も達成し、再発リスクと遠隔転移リスクの双方を低下させたことは非常に心強い結果だと述べた。今回の成果は、第2相試験ですでに有望な結果が示されていたことを裏付けるものでもある。
今年開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、5年間の追跡調査結果が報告され、ペムブロリズマブ単独療法と比べて、再発または死亡リスクを49%低減、遠隔転移または死亡リスクを59%低減したことが示された。ロング教授は、今回の第3相試験の詳細な結果を10月に開催される欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表する予定だ。
その後、メルクとモデルナは、オーストラリアの医薬品・医療機器行政局(TGA)を含む各国の規制当局へ承認申請を行う予定となっている。「審査には通常12~24か月ほどかかる。承認された場合は、その後さらに医薬品給付制度(PBS)による審査が行われ、公的補助の対象となるかどうかが決まる」
ソース:news.com.au – Australian melanoma expert Georgina Long leads breakthrough phase 3 trial of personalised mRNA treatment