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暴力の危険に晒されるオーストラリアの病院関係者達

オーストラリア・メディカル・ジャーナルの調査によると、病院関係者がナイフで脅されたり、患者に服をはぎ取られたり、暴言や暴力に悩まされるケースが急増しているという。

2000年6月から2002年6月までの間、患者による暴言・暴力が報告された例は3600件以上にのぼり、そのうちの5%でスタッフが負傷、15%で警察が呼ばれている。事件は精神病棟と救急病棟で頻繁に発生しており、アルコールやドラッグと絡んだケースが多く、病院で使用するレーザーカッターや、ハサミ、注射器などが凶器として使われる場合も少なくない。
1992年以降、南オーストラリアでは、患者の暴力による医療従事者の死亡事故が2件発生しており、精神科、救急医療、一般開業医あるいは遠隔地での医療の従事者はスタッフ自身と患者の身の守る安全対策を強化する必要性が指摘されている。

また2004年の8・9月の調査結果では、都市部での医療従事者への暴力が深刻化していることも明らかにされた。NSW州の一般開業医へのアンケートでは49%の医師が前年度に暴力を受けたと答えている。ほとんどのケースは、暴言、盗難、器物破損などの低レベル・バイオレンスだが、9.3%の医師はセクシャル・ハラスメントを、2.7%の医師は身体的暴力を受けたと回答。
経験が長い医師の方が暴力をうける割合が少ない傾向にあることもわかり、医師としての長年の経験が患者にうまく対応するテクニックを培っているのではと見られている。一般開業医用トレーニングへの、暴力防止・コントロール教育プログラム導入を同ジャーナルは提案中。

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