一般

電動スクーター絡む事故急増 医師が警鐘

【WA7日】  国内で電動スクーターの利用者が増加する中、各地で電動スクーターが絡む深刻な事故が急増しており、全国の医師らが強い懸念を示している。

WA州王立パース病院・外科サービス部門責任者のウェーバー教授は、ABCの番組「Stateline」に出演し、連日、深刻なけがを負った患者と向き合っていると明かした。骨折、内臓損傷、脳損傷、脊髄損傷などが多く、その多くが「障害にわたる後遺症」につながっていると警告した。

パースでは先ごろ、51歳の男性が電動スークーターと衝突し、死亡する事故が発生。スクーターに乗っていたのはイギリス人観光客の女性で、酔った状態で運転し、男性に衝突したとみられている。男性の家族は、「レンタルの電動スクーターに関する規制と安全対策の見直しを行い、さらなる重大な事故が起きないようにして欲しい」と訴えた。パース市はこの事故を受け、レンタルの電動スクーターの使用を一時停止している。

また、死亡した男性の友人は、「歩道での電動スクーターの使用は本質的に危険であり、全面的に禁止すべき」と訴えた。また、バーやクラブの外に設置されているレンタルスクーターについて、「運転免許が不要で、酔った人による利用を誘発している」として、警鐘を鳴らした。

国内では、メルボルン市が2024年8月、レンタルの電動スクーターを禁止することを市議会の議員投票により決定している。メルボルンCBDでの安全性への懸念や住民からの懸念を受け、市長が提案した。決定後、市は電動スクーターの運営会社のライム(Lime)とニューロン(Neuron)との契約を6カ月前倒しで終了した。ただ、個人所有のスクーターはVIC州全域で使用が可能だ。

一方、QLD州では医師と研究者がこのほど、電動スクーター事故を分析した報告書を発表。2023年1月から2024年12月にかけて、サンシャイン・コースト大学病院に搬送された176件の子どもによる事故を分析した結果、事故の78%が転倒、13%が車両との事故だったことが分かった。また、11%が命にかかわる重傷を負っていた。調査結果を受け、医師らは電動スクーターが使用できる年齢を16歳以上に引き上げるよう求めている。

NSW州では今年5月、電動スクーターによる新たな「枠組み」を発表。共有道路での走行を可能とし、制限速度を時速10~20キロと定めた。また、制限速度が時速50キロ以下の道路における最高速度を時速20キロまでとしている。同州では、16歳以上による個人所有のスクーター利用は合法となっている。

 

ソース:news.com.au-Australian doctors raise alarm over electric scooter crash carnage

この記事をシェアする

その他のオーストラリアニュース記事はこちら