【ACT29日】 国内刑務所の収容者数が過去最多に増えている。このうち半数近くが判決を宣告されていない。
オーストラリア統計局(ABS)によると、過去3年で国内刑務所の収容者数は徐々に増え、2022年3月の4万330人から最新の4万6,081人に増えた。有罪判決を受ける前の拘留者も、過去3か月で8パーセント増えて1万9,119人になった。全収容人数の42パーセントを占める。
過去数年、国内のすべての州・地域で特に若年世代に対し、釈放を厳しくしている。NSW州では、DVで起訴された場合でも”拘留されるべきでない理由”をあげなければならない。地域社会をベースとする釈放用宿泊施設の欠如も、釈放を拒否される人が増える背景にある。シドニー工科大学法学部のタリア・アンソニー博士は、「地域社会にサポートはなく、刑務所が拡大するだけ」と話した。
罰則の引き上げも囚人数の増加の背景にある。QLD州では、公共の場でナイフ所持の懲役が初犯で18か月、再犯は2年に引き延ばされた。どちらも以前は懲役12か月だった。
受刑者率は成人10万人当たり214人に増加した。全囚人の92パーセントが男性だ。NT準州の受刑者率は10万人当たり1,381.6人で全国平均をはるかに上回る。
また、受刑者率は先住民社会が最高で、先住民の成人10万人当たり2,559人。1991年に行われた、拘留中の先住民の死亡に関する王立委員会調査では、全囚人の14.3パーセントを先住民が占めた。この数は最新データで37パーセントに増えた。
刑務所の収容人員数は過去最多だが、犯罪率は2008/2009年度にABSが調査を始めてから最も低い。元受刑者の半数以上が再犯することから、投獄が犯罪を減らす可能性は低いと考えられる。
世界の刑務所の状況をまとめた「ワールド・プリズン・ブリーフ」によると、オーストラリアはG20カ国中7番目に受刑者率が高い。日本は世界でも受刑者率が最も低く、人口10万人当たり31人。犯罪率は1,000人当たり57件だ。
2023/24年度、全国の矯正サービス費用は65憶2,000万ドルに上った。受刑者率が変わらなければ、費用は70万ドルに上昇すると見積もられる。
ソース:abc.net.au – Australia’s prisoner numbers at all-time high and changing bail laws playing a part