【VIC31日】 オーストラリア各地で8月31日(日)、反移民デモとそれに対抗するカウンターデモが実施され、数千人が街頭に集まった。多くの参加者は平和的に抗議を行ったが、メルボルン中心部では両グループが衝突し、警察が強制的に介入する事態となった。
VIC州警察によると、メルボルンのCBD(中心業務地区)にあるバーク・ストリートとスワンストン・ストリートの交差点付近で、反移民デモ隊とカウンターデモ隊が接触。乱闘が勃発し、女性がもみ合いの中で地面に倒される場面も目撃された。
警察は衝突の拡大を防ぐため、催涙スプレー(OCスプレー)やバトン弾、公的秩序維持用の弾薬を使用。瓶が投げつけられるなどの攻撃もあり、警察官2人が負傷したが、いずれも病院への搬送は不要とされた。警察報道官は「双方を隔離し、平和の破壊や身体的暴力を防ぐため、警官は複数の列を形成せざるを得なかった」と述べ、日曜日の抗議活動に関連して6人が逮捕されたことを明らかにした。
VIC州警察はこの日、複数の抗議活動に関連して計6人を逮捕したことを発表した。逮捕理由の詳細は明らかにされていないが、暴行や治安妨害に関与したとみられる。
今回の一連の抗議活動は、移民政策を巡る緊張の高まりを背景に行われたもの。各都市で大規模な集会が開かれたが、その多くは平和的に終了している。一方でメルボルンでの衝突は、移民問題が社会に深刻な分断をもたらしている現状を浮き彫りにした。
こうした反移民デモが近年の移民増加や社会不安を背景に各地で勢いを増している一方で、多文化主義を支持する市民や団体は「人種差別を助長する動きだ」と強く反発し、対立構造が鮮明になっている。特に労働党政権は移民政策をめぐり厳しい批判にさらされており、右派からは「移民の急増が社会不安を招いている」との声が上がる一方、左派や人権団体は「政治的に利用された憎悪デモ」と位置づけている。
ソース:news.com.au-Pepper spray used in controversial anti-immigration rallies