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キャッシュレス時代のコスト カード手数料の行方

【ACT23日】   クリスマス商戦が本格化する中、オーストラリアでは多くの消費者がカードによるキャッシュレス決済を利用している。2025年現在、キャッシュレス決済は全取引の約4分の3を占める。小規模店舗のEFTPOS端末には、取引手数料を理由にカード支払いへ追加料金を課す表示が目立つが、その手数料の行き先に疑問の声が上がっている。

アデレードで飲食業を営むジム・クリストゥ氏は、キャッシュレス決済を利用するためだけに、年間2万5000ドルを銀行に支払っていると明かす。「現金は使いにくくなり、カード利用を強いられた上で、さらに費用を取られている。銀行は二重取りをしている」と批判する。

RMIT大学のアンジェル・チョン教授によると、加盟店はインターチェンジ手数料のほか、カード会社や決済事業者への手数料を支払っており、負担はデビットカードで0.5~1%、クレジットカードで1~2%に及ぶという。一方、消費者も口座維持費や海外利用時の為替手数料など、間接的に銀行に費用を支払っている。

日常的なデビットカードやクレジットカードの支払いにおいて、消費者が直接銀行に手数料を支払うことはほとんどない。しかし、消費者はデビットカードの利用や口座維持のために、月額の口座手数料を支払っている。「つまり、銀行は同じ取引の両側から収益を得ていることになり、検証に値する状況だ」とチョン教授は指摘する。

こうした状況を受け、オーストラリア準備銀行(RBA)は、サーチャージの撤廃やインターチェンジ手数料の引き下げなどを含む見直しを進めている。RBAは、消費者と事業者の負担軽減につながる可能性があるとして、2026年3月までに結論を示す方針だ。専門家からは、アップルペイなどのデジタルウォレットも含め、決済システムを公共インフラとして扱うべきかどうかが、今後の重要な論点になるとの指摘が出ている。

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