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メルボのネオナチによる領事館前デモ巡る裁判

【VIC5日】   メルボルンの中国総領事館前で行われたネオナチ、トーマス・スウェル被告の抗議活動について、裁判所は「常識的なオーストラリア人であれば『オーストラリアは一体どうなってしまったのか』と感じるほど過激だった」と指摘した。

トーマス・スウェル被告(32)は、2024年10月26日、メルボルンのトゥーラック・ロードにある中国総領事館前で、マスクを着用し黒い服に身を包んだ約30人の男たちを率いて抗議活動を行った。裁判でこれまでに明らかになっているところによると、グループは「黄色い害虫ども、赤ん坊を傷つけた犯人を引き渡せ」と書かれた横断幕を掲げ、中国国旗や毛沢東主席、習近平国家主席の写真を燃やしたという。

この抗議活動は、同年8月、ブリスベンの公園で当時生後9か月だった乳児が、見知らぬ人物に熱いコーヒーをかけられ重度のやけどを負った事件から約2か月後に行われた。QLD州警察は後に、この事件には33歳の中国籍の男が関与している疑いがあり、ルカちゃんが負傷してからわずか4日後に国外へ出国したと発表した。当局は、容疑者は現在中国にいるとみているが、オーストラリアと中国の間には正式な犯罪人引き渡し協定は存在しない。

スウェル被告は拡声器を使い、領事館内に向かって人々を「黄色い害虫」と呼び、対中姿勢が弱腰だとしてオーストラリアの政治指導者を非難。さらに、中国当局に対し容疑者の引き渡しを要求した。裁判所によると、被告は容疑者を「この国で一番高いビルから自分の手で吊るしてやる」とも発言していたという。スウェル被告は公然わいせつ行為(不快な行為)の罪で起訴され、無罪を主張。水曜日にメルボルン治安判事裁判所で争った。

5日午後、担当のパトリック・サウジー治安判事は、証拠と双方の主張を整理したうえで、「被告側が予定している第二の防御論がなければ、有罪と判断していただろう」と述べた。「今後判断される憲法上の保護がなければ、本件は合理的な疑いを超えて有罪と認定する」と語った。

サウジー判事は、検察側が「スウェル被告の一連の行為は、常識的な通行人にとって不快なものだった」と主張している一方、被告側は「正当な政治的意見表明だ」と反論していると説明した。

さらに、問題となった「刺激的な言葉遣い」は、白人の乳児を狙った人種差別的なヘイトクライムだと被告が主張する、乳児への熱いコーヒー事件という文脈で理解されるべきだとも訴えていた。サウジー判事は、検察側も同意しているとして、スウェル被告とそのグループには中国総領事館前で抗議する権利があり、中国共産党に対する合理的な批判は許されると述べた。

しかし、抗議活動の映像については「非常に強烈で背筋が凍るようなもので、1930年代のドイツを想起させる」と指摘した。「常識的な人であれば誰でも、強い嫌悪感を覚え、『オーストラリアは一体どうなってしまったのか』と自問するだろう」と述べ、「現代のオーストラリア社会は人種差別を一切受け入れていない。それは全くもって忌むべきものだ」と断じた。

判事は、スウェル被告は「最も下劣な人種差別に堕していた」とし、当日その場を通りかかった責任ある市民であれば、誰もが怒りと嫌悪感を抱いたはずだと語った。この事件はまだ結審しておらず、スウェル被告は、自身の発言は表現の自由として憲法に保護されると主張し、憲法上の抗弁を行う意向を示している。

検察側はこれに反論し、問題の発言は保護される表現の範囲を逸脱していると主張する方針だ。この点については、連邦および州の司法長官が介入する可能性もあるとして、審理は4月2日まで延期された。

なお先月、中国の駐オーストラリア大使の肖千(シャオ・チエン)氏は、乳児への熱いコーヒー事件について「中国当局は真剣に捜査している」と述べ、オーストラリアの捜査当局を支援するための作業部会をブリスベンに派遣する予定だと明らかにしている。

ソース:news.com.au – Thomas Sewell: Prominent Melbourne neo-Nazi suffers court set back over protest outside Chinese consulate

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