【ACT24日】 将来「快適な」老後生活を目指すオーストラリア人にとって、必要な貯蓄額が過去最高に達したという厳しい現実が突きつけられた。
オーストラリアで快適な老後を実現することはさらに難しくなっており、必要とされる貯蓄額は驚くべき水準にまで上昇している。約3年ぶりに、オーストラリア年金積立基金協会(ASFA)は、退職後に経済的に安心して暮らすために必要とされる推定貯蓄額を引き上げた。
現在、67歳の持ち家のある単身者が快適な老後を送るには、63万豪ドルの一時金が必要とされており、2023年の59万5,000豪ドルから増加している。これまで69万豪ドルが必要とされていた夫婦の場合、現在は少なくとも73万豪ドルが必要だ。「質素な」老後に必要な金額も引き上げられ、単身者は11万豪ドル、夫婦は12万豪ドルとなった。以前はいずれも10万豪ドルだった。
ASFAのCEO、メアリー・デラハンティ氏は、これらの基準額の上昇は、退職者がスーパー(年金積立)貯蓄をめぐって直面している圧力の高まりを反映していると述べた。「退職者の生活費は上昇している一方で、老齢年金からの支援はその上昇に追いついていない。そのため、快適な生活水準を維持するには、より多くのスーパー貯蓄が必要になる」と語った。
特に商品やサービスなど、退職者が多く支出する分野での生活費が一般的な消費者物価上昇率を上回っていることが、ASFAが必要額を引き上げた主な理由の一つだという。「年金は物価連動で調整されているが、それでも退職者の個人のスーパー貯蓄への負担が大きくなっている」とデラハンティ氏は述べた。
現在の年金満額支給額は、単身者で2週間あたり1,178.70豪ドル、夫婦合計で1,777豪ドルとなっている。来月の改定により、年金や障害者支援年金、介護者手当を満額受給している単身者は、2週間あたり22.20豪ドル増額される見込みだ。
業界団体が快適な老後の基準額を引き上げたもう一つの理由は、最近発表された「ディーミングレート(みなし利率)」の引き上げだ。ディーミングレートは、政府が金融資産から得られると想定する収入を算出し、年金額を計算する際に用いられる。3月20日から、単身者で6万4,200豪ドル未満、夫婦で合計10万6,200豪ドル未満の金融資産には1.25%の下限利率が適用され、それを超える部分には3.25%の上限利率が適用される。
オーストラリア政府アクチュアリー(AGA)がディーミングレートの引き上げを評価・勧告したのは今回が初めてだ。変更を発表した社会サービス相のタニヤ・プリバーセク氏は、社会保障制度は納税者にとって価値あるものとするため「公平性に根ざしていなければならない」と述べた。「本当に支援を必要とする人々を支え、誰も取り残されることのないように制度を維持していく」と語った。プリバーセク氏は、3月の年金引き上げによって影響は緩和されるとしたが、ファイナンシャルアドバイザーのニック・ブルーニング氏は、今回の変更は年金受給者にとって「二重の打撃」になると指摘した。
同氏は紙面で、「昨年の今頃、単身の年金受給者は約30万8,000豪ドルの金融資産まで年金減額なしで保有できたが、3月以降は約21万5,000豪ドルに下がる」と述べた。「この上限を超えると、みなし所得が2週間あたり218豪ドルの許容額を上回るため、所得テストにより年金は減額される」としている。しかし、状況は必ずしも悲観的ではないとデラハンティ氏は強調する。現在の退職世代は、これまで以上に多くのスーパー残高を持って退職を迎えているという。「スーパー制度は非常にうまく機能しており、オーストラリア人の老後を支えている」と述べた。
ASFAによれば、スーパー残高は今後さらに増加する見通しだ。例えば、2026年時点でスーパー残高3万豪ドルを持つ30歳の労働者が、インフレ調整後で年収8万豪ドルを生涯にわたって得た場合、退職時には64万5,000豪ドルを積み立てられる見込みだという。これは近年、スーパー基金が「例外的」な運用実績を上げているためだ。
「平均的なバランス型ファンドの運用利回りは、2023年が9.9%、2024年が11.4%、2025年が9.3%だった。3年間で累積約35%の成長で、インフレを大きく上回っている」と述べた。さらに「Superannuation Guaranteeも2020年以降段階的に引き上げられ、現在は12%に達している」と語った。同氏は、オーストラリアのスーパー制度は「取引(バランス)の上に成り立っている」とし、所得の一部を老後のために積み立てれば税制上の優遇が受けられる仕組みだと説明した。
ソース:news.com.au – ‘Not kept pace’: Amount Aussies need to retire comfortably hits all-time high