【ACT29日】 NSW州は、VIC州やTAS州が導入する公共交通の運賃無料化には参加しない方針を示した。
イラン情勢による生活費の上昇圧力が高まる中、各州や労働組合などからは無料化を求める声が上がっている。しかし、TAS州とVIC州が州内の移動を全面的に補助する決定を下したにもかかわらず、当面は公共交通の無料化は実現しそうにない。
NSW州のジョン・グラハム運輸相は29日朝の記者会見で、同州は「公共交通の無料化の道には進まない」と明言し、その理由について「経済全体を支えるために余力を残しておく必要がある」と説明した。
同氏は「運賃収入はすべて公共交通システムに再投資され、信頼性の向上や列車の定時運行の確保に使われている。今回の状況は1カ月以上続く可能性が高く、数日間や4月だけの無料化といった対応は現実的ではない」とし、「NSW政府としてはその点を懸念しており、本格的な対応計画を進めている」と語った。
一方で、クリス・ミンズNSW州首相が燃料危機への全国的な対応枠組みを提唱していることとの整合性を問われると、「他州の判断を批判するつもりはない」と述べるにとどめた。グラハム運輸相は、公共交通ネットワークが「毎日数百万豪ドル規模の収入を生み、それがシステム維持に充てられている」と強調した。
今回の発表は、VIC州とTAS州が生活費高騰対策として公共交通の無料化を導入すると発表した直後に行われた。NSW州鉄道・トラム・バス労働組合も無料化を求める声に加わり、書記長のトビー・ウォーンズ氏は政府に対し「今すぐ行動すべきだ」と呼びかけた。同氏は「VIC州やTAS州が先導している。今こそNSW州も続くべきだ。燃料危機はすでに労働者や家庭、産業に深刻な影響を与えている。運賃は州政府が完全にコントロールできる手段であり、対応が遅すぎる」と批判した。
同様の主張は地方交通担当の影の大臣ポール・トゥール氏からも出ており、「多くの家庭は今、非常に厳しい状況に置かれている。燃料価格は急騰し、食料品や電気代も上昇している。移動するだけでも負担が大きくなっており、VIC州とTAS州はすでに対応した。NSWも同様に動くべきだ」と指摘した。
一方VIC州では、4月の1カ月間、州内すべての通勤者を対象に公共交通が無料となる。ガソリン価格の高騰が深刻化する中での措置だ。バス、トラム、都市部および地方の鉄道すべてが対象となり、ジャシンタ・アラン州首相はこれを「一時的な措置」と位置づけている。
同首相は「州民が燃料価格の上昇に対処できるよう、できる限りのことを行う」と述べ、「すべての問題を解決するものではないが、当面の負担軽減につながる」と説明した。この施策は約7940万豪ドルの費用がかかる見込みで、各家庭は最大500豪ドルの節約が可能とされている。
TAS州でも、3月30日から7月1日まで州内のバス運賃が無料となる。ジェレミー・ロックリフ州首相は、「持続不可能なレベルに達しつつある燃料価格から州民を守るため、断固とした対応を取る。燃料費の上昇が家計に影響していることは明らかであり、今回の措置は州として最大級の生活費対策の一つだ」とし、「より多くの人に公共交通を利用してほしい」と呼びかけた。
ソース:news.com.au – NSW says no to joining Victoria and Tasmania in offering fare-free public transport