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子どもの予防接種率が5年連続で低下

【ACT9日】   小児の予防接種率が5年連続で低下しているとして、医師たちが警鐘を鳴らしている。では、この急激な低下の背景には何があるのだろうか。

すべての重要な接種時期において子どもの接種率は引き続き低下しており、生後12か月時点で完全接種を受けている子どもの割合は、2020年から2025年にかけて約4%減少した。さらに、2歳児の完全接種率は昨年90%を下回り、2020年の92%から低下したことが、国立予防接種研究・監視センターの2025年データで明らかになっている。5歳児の接種率も同期間に94%から92%へと低下しており、接種のタイミングもコロナ禍以前より遅れる傾向が見られる。

オーストラリア政府保健省の過去データによると、1歳および2歳児の完全接種率は2000年代初頭から低90%台で推移しており、集団免疫に必要とされる95%の達成に苦戦してきたことが示されている。

連邦保健大臣マーク・バトラー氏は、幼い子どもの接種率が引き続き低下していることに懸念を示しつつも、この傾向は世界的なものであり、オンライン上の誤情報や新型コロナウイルスの影響が続いていることが背景にあると指摘した。「パンデミック後のためらいや疲労感があり、さらにワクチンに関する誤情報や偽情報がオンライン上で広がっている」とバトラー氏は8日に述べた。同氏は、小児予防接種に関する情報発信キャンペーンの見直しが必要であり、現在は誤情報への対抗や判断を保留している人々を対象とした広告が展開されているとした。

国立予防接種インサイト・プロジェクトを率いるマリケ・ステフェンス氏は、「2020年のコロナ禍の始まり以降、すべての年齢層で接種率が毎年少しずつ低下する傾向が続いている」と指摘する。「毎年の低下は大きくはないが、継続的に下がり続けていることが問題だ」と彼女は語った。

はしかや百日咳の感染は全国的に増加しており、ステフェンス氏はこれを「危険の前兆」と捉えている。「このまま接種率が下がり続ければ、ジフテリアやポリオといった他の病気の増加も見られるようになるだろう。ここまで来るとは誰が想像しただろうか。本当に懸念すべき状況だ」と述べた。ジフテリアはオーストラリアで完全に根絶されたわけではないが、ポリオは2000年に根絶が宣言され、国内で最後に確認された感染は1972年である。

2025年の同プロジェクトによると、予防接種の主な障壁は「ワクチンの安全性に対する否定的な考え」「医療従事者への不信感」「保護者が接種を優先しないこと」の3つである。「今年、最も増加した障壁は、保護者が医師や看護師からのワクチン情報を信頼しなくなっている点だった」とステフェンス氏は述べた。また、診察費用や予約の時間確保といった実務的な問題も大きな障壁となっている。

「ワクチンへの信頼低下もあるが、一部の保護者にとっては子どもを接種に連れて行くこと自体が難しいという現実にも目を向ける必要がある」と彼女は指摘する。特に地方では、無料診療(バルクビリング)を行うGP(一般医)を見つけるのが難しいとの声もある。一方で、多くのオーストラリア人はワクチンの重要性を理解しており、子どもを守る最善の方法であると認識している。

「子育ては非常に大変で、忙しい日常の中で予防接種を優先するのは難しい。しかし、子どもの健康を守る最善の方法の一つであり、優先する価値がある」とステフェンス氏は述べた。ただし、米国疾病対策センター(CDC)が推奨ワクチン数を17から11に減らしたことなどの影響で、一部の保護者は不安を感じているという。

また、海外からの情報により、相反するメッセージや誤情報にさらされることで、接種への不安が高まっていると指摘する。ニューサウスウェールズ大学人口保健学部の社会科学者ホリー・シール教授は、恐怖を煽るキャンペーンは接種率向上には効果がないと語る。むしろ、祖父母と過ごす時間を増やすため、旅行に行くためなど、「健康を保つ」というシンプルなメッセージの方が効果的だという。

「ワクチンで予防可能な病気で亡くなるケースもあるが、多くの場合、子どもにとっては学校を休むことや、友達と過ごす時間を失うことにつながる。予防接種は、人生の大切な機会を逃すリスクを減らすためのものだ」とシール教授は述べた。

自身も2児の母であるシール教授は、忙しい保護者の状況に理解を示し、「利便性が重要で、誰にとっても簡単に受けられるようにするべきだ」と語った。薬局でワクチン接種や相談ができるようになったことも、大きな助けになっているという。

「疑問があればGPに相談することが重要だ。家族や友人の話は参考になるが、誤った情報である場合もある。最終的には、薬剤師や医師としっかり話すことが、誤解を解消する助けになる」

ソース:news.com.au – Child vaccination rates fall to five-year low amid distrust of trained professionals

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