【ACT10日】 オーストラリア高等裁判所は、移民収容をめぐる裁判で連邦政府に不利な判断を下し、納税者が数千万豪ドル規模の賠償負担を負う可能性が浮上した。
問題となったのは、無期限の移民収容下に置かれていた外国人の「不法拘束」に関する責任。裁判所は、オーストリア国籍のサフワット・アブデルハディ氏の訴えを支持した。
同氏は1997年にオーストラリアへ入国し、2017年に当時の内務大臣ピーター・ダットン氏によってビザを取り消された。その後、重度の血栓症により飛行機での移動が不可能と判断され、国外退去の見込みがない状態となっていた。政府側も、2022年7月から2024年2月までの拘束が違法であったことは認めていたが、損害賠償責任については争っていた。
政府は、当時の担当官が移民法に基づき、従来の判例に従って職務を遂行していたとして、国家としての賠償責任は免除されるべきだと主張した。しかし、ジェームズ・エデルマン判事はこれを退け、「政府や公務員だけが誤った法解釈に基づく行為で責任を免れるのは、法の下の平等原則に反する」と指摘した。裁判所は、担当官個人だけでなく、その雇用主である連邦政府にも直接および間接(使用者責任)での責任があると認定した。
今回の判断は、国外退去の現実的見込みがない人の無期限収容を違法とした「NZYQ判決」に続く、政府にとっての新たな打撃となった。野党側は政府の対応の遅れを批判し、「納税者にさらなる巨額負担をもたらす可能性がある」と指摘している。
これまで政府は、足首の電子監視装置の導入など対応策を講じてきたが、この措置も今年3月に高裁から違憲と判断されている。また、太平洋のナウルに対象者を移送するための数十億豪ドル規模の合意も進められているが、議論を呼んでいる。
一方、人権団体は今回の判決を「正義への重要な一歩」と評価。長期収容による精神的・身体的な被害や家族分断などの問題を指摘し、「こうした被害は決して起きるべきではなかった」と強調した。
今回の判決により、移民政策の法的リスクと人権問題が改めて浮き彫りとなり、今後の制度見直しが強く求められている。
ソース:news.com.au – Taxpayers potentially on the hook after government case dismissed in High Court immigration ruling