政治

AI庁設立を発表へ 国家的枠組み構築を表明

【ACT14日】   アンソニー・アルバニージー首相は、人工知能(AI)に対して「世界初」となる国家的アプローチを取ると表明し、その第一歩として新たな組織を設立する。

アルバニージー首相は、急速に発展する一方で議論も多い生成AIの台頭に各国が対応を迫られる中、シドニーでの記者会見で「AI庁(人工知能庁)」の設立を発表する見込みだ。この組織は首相・内閣府内に設置され、15日から発足する。AIに関する課題を単一の国家的枠組みに統合する点で「世界初」となると強調する見通しだ。

首相は、「これを適切に進めることで、承認プロセスの明確化と迅速化、コンプライアンス確認の簡素化が実現し、海外投資家にとっての魅力が高まる」と述べる。また、AIがすべての省庁に関わる分野であることから、これまでの分野別対応ではなく、統合的な取り組みが必要だと指摘する。

この新組織は、1920年代の民間航空や1990年代の遺伝学といった過去の重要技術に対する政府の統合的対応になぞらえられている。

AI庁は、ティム・エアーズ産業相およびアンドリュー・チャールトン補佐相と連携し、オーストラリア独自のAI基準を策定する。さらに、クリス・ボーエンエネルギー相は州政府やエネルギー関連機関と協力し、ミシェル・ローランド司法長官はAI学習における著作権やアーティスト保護について協議を進めている。このほか、ジム・チャーマーズ財務相はAIの生産性向上への影響を担当し、アマンダ・リッシュワース雇用相は労働市場への影響について企業や労働者、労組と協議している。ジェイソン・クレア教育相も学校教育への影響について各州と議論を進めている。

また、デジタル上の注意義務の設計や、チャットボットが子どもに与えるリスク、AIと技能・製造業の関係、防衛や国家安全保障におけるAIの役割など、幅広い分野で検討が進められている。

今回の発表は、AI導入の加速と安全確保を目的とした政府のAI戦略公表から約半年後に行われる。一方で、AIの普及に伴い、安全性や公平性を巡る懸念も高まっている。

今月初めには、音楽や文学などの主要なクリエイティブ業界団体がキャンベラを訪れ、生成AIの学習にオーストラリアの知的財産が無断使用されることへの懸念を訴えた。現行の著作権法では、AI企業が学習に作品を使用するには許可が必要とされている。

無所属のデービッド・ポコック上院議員は、政府がデータセンター投資と引き換えにAI向けの例外規定を検討している可能性に懸念を示したが、政府はこれを強く否定している。報道業界からも、コンテンツが無断で収集・利用されることへの警戒が高まっている。ニューズ・コープ・オーストラリアのマイケル・ミラー会長は、著作権保護が維持されなければ国の言論や文化が損なわれる恐れがあると警告している。さらに、AIモデルやデータセンターを国内で確保する「主権AI」を求める声も政治的立場を超えて広がっている。

野党幹部のアンドリュー・ハスティー議員は、「AI革命はすでに始まっており、対応しなければ国力が低下する」と述べ、国内での計算基盤整備の必要性を訴えた。「現状ではAIの将来に対する主体性がなく、米国やその企業の善意に依存している」とし、有事の際には通信インフラの脆弱性もリスクになると指摘した。

政府は今年の国家防衛戦略で、AIと機械学習が今後最も大きな技術的変革をもたらす分野の一つだと位置付けている。また、過激派や国家主体がAIを用いて若者向けのプロパガンダや偽情報を拡散している現状にも言及し、副首相兼内務相が関係機関や「ファイブアイズ」と連携して対応していると説明する見込みだ。

連邦警察のクリッシー・バレット長官も、AIによってオンライン犯罪のハードルが下がり、特に若者など脆弱な層への被害が拡大する可能性を警告している。「犯罪者はAIチャットボットを使って若者を勧誘し、被害者にするケースが増えている」と指摘した。

ソース:news.com.au – Anthony Albanese to announce Office of AI, pledges national framework

この記事をシェアする

その他のオーストラリアニュース記事はこちら