ビジネス

政府、ETS導入時期の延期を発表 「企業利益を優先」 環境団体

【シドニー4日AAP】    ケビン・ラッド首相は4日、排出権取引制度(ETS)の導入時期を当初予定していた2011年の中旬から1年後に延期することを発表した。これを受け、環境保護団体のライジング・タイド・ニューキャッスルは、連邦政府は導入時期を延期することで企業の利益を優先したことを認めたとした。

同団体のスポークスマンのアニカ・ディーンは声明文で「ラッド首相はすでに著しく信用を喪失している炭素汚染削減制度を実施する見通しで、さらにその効力を弱め、制度自体を1年後に延期する予定。大企業と気候問題との対立で企業が勝利した。連邦政府が敗北を認めたのも同然」と語った。

2050年までに炭素の排出レベルを100万分の450以下で維持することに世界が合意することを条件に、政府は温室効果ガス削減目標の上限値を2020年までに2000年比で25%に引き上げた。修正前の制度の上限値は15%だった。

「政府がその上限値を目指しているかもしれないし、そうではないかもしれないが、高い目標を掲げているという意思表示を見せていない。目標の下限値の方がむしろより重要で、下限値は2020年までにわずか5%で、その数値に変更はない」とディーン氏。また、同氏は「政府は炭素排出許可の上限価格を1トン当たり10ドルに引き下げる見通し。価格があまりに低く、ほとんど変化は見られないだろう」とした。

この記事をシェアする

その他のオーストラリアニュース記事はこちら