【ACT26日】 アンソニー・アルバニージー首相は、ドナルド・トランプ前米大統領と大規模な重要鉱物取引に署名した。この合意により、オーストラリアの各州・準州が恩恵を受けるが、中でも特に大きな利益を得る地域もある。
この取引は、中国が世界的に支配する鉱物市場に挑戦するオーストラリアの大きなチャンスとなる。外交訪問はしばしば象徴的なものと見なされがちだが、今回の公式訪問から、ほぼ全ての州・準州が約131億豪ドル(85億米ドル)規模の重要鉱物市場の恩恵を受ける見込みだ。
国内最大の鉱山が集まるWA州は最も恩恵を受ける州となる。州首相のロジャー・クック氏は、この合意を「WA州と同州の雇用にとっての勝利」と表現した。早速、キャンベラはパース南部のアルミナ精錬所の改修に3億700万豪ドルを投じ、純度99.99%以上のガリウムを生産する計画だ。
アラフラ・レアアースのノランズ・プロジェクトでは、ネオジムとプラセオジム(NdPr)が生産され、強力な永久磁石に使用される。これらの磁石は精密誘導ミサイルなどの各種技術に組み込まれる。推定資源価値は驚異の550億豪ドルに上る。
RZリソースプロジェクトでは、マレー盆地のロクストン〜パリラ砂漠間から重鉱物濃縮物を抽出し、主にチタンやジルコン、希土類を生産する。推定資源価値は14億米ドルで、米国は4億5,000万米ドルを投資予定。
QLD州では、タウンズビルのグラフィネックス・プロジェクトも資金を受け取る。ここでは原料の採掘から高純度濃縮物の製造、リチウムイオン電池の負極材料まで一貫して生産される。世界で3番目に大きい黒鉛鉱床を有し、資源価値は18億豪ドル。米国は最大の投資として約13億豪ドル(8億6,000万米ドル)を予定している。
VIC州北西部のゴッシェン希土類・鉱砂プロジェクトでは、希土類鉱物濃縮物およびジルコン・チタン酸重鉱物濃縮物を供給。オーストラリア政府は7,500万豪ドル、米国は2億米ドルを投じる。
今回の枠組みは、アルバニージー首相とトランプ氏がホワイトハウスの閣僚室で署名する数時間前に最終決定された。トランプ氏は、中国がオーストラリアとの取引に干渉すれば関税を武器に対応すると示唆。「もし中国が十分な関税を支払わなければ、米国との取引ができなくなり、中国は大きな問題に直面する」と述べた一方、「中国が繁栄することも望む」と付け加えた。
この合意により、オーストラリアは重要鉱物・希土類の生産で世界市場における影響力を強化する見込みである。
ソース:news.com.au – What Albanese and Trump’s deal means for Australia