【WA9日】 WA州の有名な少年拘置施設「ユニット18」で亡くなったアボリジナルの少年、クリーブランド・ドッドくん(16)について、検視官が厳しい調査結果を公表し、同施設の「即時閉鎖」を求めた。検視官は施設の状況を「非人道的」と表現している。
検視官のフィリップ・アーカート氏は、成人向け最高警備刑務所に併設されたユニット18内で、クリーブランドくんがどのように自傷行為に至ったのかについて厳しい評価を示した。クリーブランドくんは約3ヶ月の未決拘留中で、2023年10月12日にユニット18内で自傷行為を行った。看守が彼を意識のない状態で発見し、病院に搬送されたが、家族に囲まれながら1週間後に息を引き取った。
検視は昨年4月に始まり、7月に終了。WA州の検視史上最も長期にわたるものとなった。検視官は、当局が「子どもがユニット18で死亡する」との複数の警告を無視したことで、クリーブランドくんの死は「避けられなかった」と断言した。「懲罰的な対応が許される時代はとっくに過ぎている。国家のケア下にある子どもが、自ら命を絶つ決断をしたことは最大の悲劇であり、それが予測されていたならなおさらだ」
アーカート氏は、ユニット18は州内で最も弱い立場の子どもたちを収容する「安全な場所とは程遠い」と述べ、内部で働いた職員の証言は「衝撃的で、想定外で、向き合うのが辛いものだった」とした。「居室は『住める状態ではなかった』と言われたが、それは誇張ではない。21日間、給水が止まり、トイレは外部から流してもらうしかなかった。1日22時間、独房に1人で閉じ込められていた」
クリーブランドくんは家族の住む場所から約1000km離れた施設に収容されており、面会もほぼ不可能だった。自死に至るまで74日間、ユニット18で過ごしていた。死亡前の数日間には、自傷の予告、心理士面会の要求が無視されたこと、母親への電話が拒否されたことなど、悲惨な状況が明らかになった。
「彼が感じていたであろう絶望は想像を絶する」と検視官は、職員不足や非拘禁職員の不足により、ユニット18は自傷リスクのある子どもを適切にケアできる状態ではなかったと結論づけた。また、司法省に対して厳しい見解を示し、WA州の少年司法の運用を大きく変える提言を行った。「少年司法を司法省が管理し続けるべきか検討するフォーラムを設けるべきだ。ユニット18が少年拘置施設として運用されるに至った経緯について、特別調査を行う必要がある。最も重要なのは、ユニット18を緊急に閉鎖することだ」
母親のネイディーン・ドッドさんは取材に応じなかったものの、声明で以下のように述べている。
「クリーブランドが一日に23時間以上、汚れた独房に閉じ込められていたと知るのは心が張り裂ける思いだ。息子が希望と生きる意欲を失ったのも理解できる。息子の死が、他の子どもたちを同じ苦しみから救う変化につながることを願うが、司法省の根本的な意識改革が必要だ」
WA州の矯正サービス担当相のポール・パパリア氏は、少年拘置施設は改善されているとし、代替施設が完成するまでユニット18は閉鎖しないと述べた。司法省は声明で検視結果を認め、改善を進めていると発表。矯正サービス局長のブラッド・ロイス氏は、「すべての若者に構造化された1日、より多くの居室外の時間、文化・更生プログラムへのアクセスを提供している」と述べた。
一方、アボリジナル・トレス海峡諸島児童・若者全国コミッショナー、スー=アン・ハンター氏は、「どの子どもも、こんな扱いを受けるべきではない。ユニット18の即時閉鎖が必要だ」と強調した。
ソース:news.com.au – Coroner hands down findings into Cleveland Dodd’s death, the first child to die inside a West Australian juvenile detention centre