【ACT18日】 アルバニージー政権は、いわゆるヘイト・プリーチャー(憎悪を扇動する説教者)を対象とした新たな犯罪を創設する方針を明らかにした。
18日の合同記者会見で、オーストラリア連邦警察(AFP)のクリッシー・バレット長官は、捜査当局が「精査すべき大量の資料」を調べており、国内外のパートナーと連携しながら、被疑者の動きや接触先について全体像の把握を進めていると述べた。「いわゆるヘイト・プリーチャーと呼ばれている人物たちについて、現在も捜査を継続している。憎悪をまき散らし、恐怖を生み出すこれらの人物は我々の監視対象にあり、私が長官に就任して以降、対テロおよび特別捜査部門において関連情報や資料の精査を進めている」とバレット長官は語った。
トニー・バーク内務相は、政府の支援の在り方について説明し、「これまで長年にわたり、人々が法律の限界ぎりぎりまで踏み込みながら、合法の範囲内にとどまってきたケースが二つあった。多くのオーストラリア人が見れば、その行動や思想、目指しているものが分断を生み出すもので、オーストラリアに存在するべきではないと感じる団体が存在する」と語った。
「しかし、彼らは法的な基準をわずかに下回っていたため、何世代にもわたり、どの政府も有効な措置を取ることができなかった。本日、その基準を引き上げることを発表する。オーストラリアを憎み、同胞を憎むことを目的とする組織に、我々は一切の猶予を与えない」
さらにバーク内務相は、「言論の自由に対する考え方が異なる国の制度を悪用し、明らかに非人間的で容認できず、オーストラリアに居場所のない言葉を使いながらも、暴力の一線を越えずにきた個人も存在する。我々は、そのような言葉が暴力への入り口になることを知っている」と指摘した。
地域社会の不安を受け、NSW州のダニエル・ムークヘイ財務相は、シドニー市民が安全に年末の祝祭シーズンを過ごせるよう、治安対策を強化する考えを示した。「反ユダヤ主義の文化を根絶し、ヘイトスピーチを厳しく取り締まる行動を取る」とムークヘイ財務相は述べた。ボンダイ襲撃事件の被害者を支援するため、州政府と連邦政府が共同で資金提供する支援パッケージを発表し、シドニー全体で追加の治安対策が実施されるとした。そのため、短期的措置として『オペレーション・シェルター』が立ち上げられた。
クリスマスおよび年末年始の祝賀行事を前に、ユダヤ人コミュニティ向けの公共安全対策はさらに強化される。数千万豪ドル規模の支援パッケージには、ユダヤ人コミュニティの「個別の安全対策ニーズ」に対応するための150万豪ドルが含まれ、学校、シナゴーグ、事業所への警備強化が行われる。
また、ノース・ボンダイRSLには19日からコミュニティハブが設置され、予約不要で利用できるメンタルヘルス専門家やリーガルエイド(法律扶助)の弁護士が常駐する。予約は必要なく、深刻な状態である必要もない。誰かに話したいだけでも、そこに行けば対応してもらえるという。ボンダイ地区の中小事業者もこの拠点を訪れ、最大2万5,000ドルの助成金やその他の支援を申請できる。
この包括的な支援策は地域社会の傷を癒やすことを目的としているが、連邦政府には「応急処置的対応」にとどまらない、さらなる措置を求める声も上がっている。
アルバニージー首相は、国家安全保障委員会との会合後、首相は政府が講じる5つの新たな措置を明らかにした。「憎悪、分断、過激化を広める者を取り締まるための改革パッケージ」の1つ目は、暴力を助長する説教者や指導者に対する加重ヘイトスピーチ罪の創設。2つ目は、暴力を促すヘイトスピーチへの刑罰強化。3つ目は、オンラインでの脅迫や嫌がらせにおいて、憎悪を量刑加重要素とすること。4つ目は、暴力や人種的憎悪を助長する指導者を持つ団体を指定する制度の整備。5つ目は、人種に基づく深刻な中傷や人種的優越を主張する行為を対象とした、限定的な連邦犯罪の新設となっている。
また、内務相には、憎悪や分断を広める人物、または入国すればそれを行うおそれのある人物のビザを取り消し、または拒否する新たな権限が与えられる。首相はさらに、教育専門家のデビッド・ゴンスキー氏が率いる12か月間のタスクフォース設置を発表。このタスクフォースは学校における反ユダヤ主義対策に焦点を当てる。必要な法案を可決するため、夏季中に議会を再招集する可能性も排除しなかった。
この会見には、反ユダヤ主義問題特使のジリアン・シーガル氏も同席した。同氏は、「より正式な対応は長らく待たれていた」と述べつつ、今年初めに自身が提出した反ユダヤ主義に関する報告書以降の取り組みの延長線上にあると語った。「首相が発表した数多くの緊急施策、特に法改正やビザ・移民分野での対応を心強く思う」
教育タスクフォースについて、ジェイソン・クレア教育相は、反ユダヤ主義は学習されるものであり、学校が最前線の防御線になると述べた。「子どもは反ユダヤ主義者として生まれるわけではない。人種差別主義者として生まれるわけでもない。これは教えられ、学ばれるもの。だからこそ、教育は予防、対処、対応のすべてにおいて重要だ」とクレア氏は語った。
ソース:news.com.au – Labor to create ‘new offences’ targeting so-called ‘hate preachers’