【WA17日】 オーストラリア各地の人気観光地で、毎年押し寄せる観光客の多さに地域住民が悲鳴を上げ、「オーバーツーリズム」への懸念が高まっている。
透き通った海と何百kmにも及ぶ手つかずの海岸線を誇るWA州南西部は、パースやアジア、近年ではシドニーやメルボルンからの観光客を強力に引きつけてきた。白砂のビーチ、世界有数のサーフポイント、そして活気あるフード&ワイン文化に彩られたこの地域には、年間を通して100万人以上の観光客が訪れ、特に夏にはエメラルドブルーの海に惹かれて多くの人がビーチに押し寄せる。
しかし、その成功の裏で、ビーチの混雑、駐車場不足、渋滞、そして急増する来訪者に対応しきれないインフラ不足に、地元住民の不満は募っている。こうした「オーバーツーリズム」への懸念は現実のものとなり、一部では理想的な町の魅力を守るため、思い切った対策を提案する動きも出ている。
ダンズボロー・リファレンス・グループのジェフ・フォレスト会長は、観光シーズンになると毎年のように「信じられない光景」を目にすると語る。ABCの取材に対し、海岸沿いでは駐車スペースが全く見つからないこともあったという。
「観光客は歓迎しているが、注意しなければ、オーバーツーリズムはこの地域の個性や快適さ、自然環境、そして私たちが売りにしている美しさそのものを壊してしまう。重要なのは、この地域が本当に受け入れられるキャパシティを見極め、その上で人の流入を管理・制限する方法を考えることだ」とフォレスト氏は言う。
バッセルトン・ジェティは州を代表する観光名所の一つで、全長1.8kmを誇る南半球最長の木製桟橋だ。CEOのリサ・シュリーブ氏によると、過去10年間で来訪者数は66%増加したという。需要の増加に対応するため、スタッフはさまざまな対策を余儀なくされている。訪問者は列車で桟橋の先端まで行き、海中展望室で色鮮やかな海洋生物を観察できるが、こうした人気体験は受け入れ人数に限りがある。
混雑を緩和するため、営業時間の延長やミニツアーの導入、陸上での体験プログラムの提供などを行っている。「通常の観光客に加え、1日で2000人が訪れることもある。列車や海中展望室の混雑を少しでも緩和するため、あらゆる方法を検討している」とシュリーブ氏は語る。桟橋では、より多くの来訪者に対応するため、3,200万ドル規模の新しい海中ディスカバリーセンターの建設も計画されていたが、コロナ後の建設費高騰により中止に。その代わり、シュノーケラーやダイバーが楽しめる海中彫刻公園が整備された。
シュリーブ氏は、ディスカバリーセンターの建設には2,000万豪ドルが必要で、年間5か月間はすでに満員になる見込みだと語る。「このままのペースで増え続ければ、2028年には年間364日、物理的にこれ以上人を入れられない状況になる」
バッセルトン市のフィル・クローニン市長は、観光客数に上限を設ける考えはないとしつつも、地域にかつてないほど多くの人が訪れていることは認めている。「観光はバッセルトン市だけで年間約10億ドル規模の産業だ。マウント・アイザで銅鉱山を閉鎖したら町がどうなるか。観光客の教育や、より賢い保全・観光の在り方に投資することが重要だ」と市長は語る。
同市にはバッセルトン、ダンズボロー、ヤリンガップといった人気観光地が含まれ、マーガレット・リバー地域のワイナリーの約50%が集まっている。コロナ禍以降、管理者不在の短期滞在型宿泊施設が急増し、長年住んでいた住民や事業者が賃貸物件を失い、町を離れざるを得ないケースも出ている。
市は対策として、短期滞在の非推奨エリアを設定し、該当物件の税率を引き上げてレンジャー増員費用に充てている。また、市内の約34%の土地が州の生物多様性・保全・観光局の管轄であるため、繁忙期に混雑する場所でも駐車場やボートランプを簡単に増設できないという。
州野党・国民党の観光担当影の大臣スコット・リアリー氏は、政府が地方観光への投資を怠っていると批判。「いわゆるオーバーツーリズムは成功の証ではなく、計画不足と慢性的な投資不足の結果だ」と述べ、州予算で観光に割り当てられた3,660万豪ドルは不十分だと指摘した。これに対し州政府は、観光客増加は州の魅力を示す前向きな兆候であり、地域経済と雇用を直接支えているとコメントしている。
ソース:news.com.au – ‘Over-tourism’: Fears visitor overload could push idyllic Aussie tourist hotspots to breaking point, locals call for cap