【NSW10日】 シドニー屈指の多文化地区で起きた、2人の少女による衝撃的な人種差別行為が、若者の行動をめぐる不都合な現実を浮き彫りにしている。
先週、シドニー・インナーウエストのバーウッド・ウェストフィールドにあるコールズ店内で、人種差別的な暴言を吐いたとして、12歳と13歳の少女2人が逮捕された。急速に拡散した動画には、混雑したスーパーの中で2人が客に暴言を浴びせ、暴行したとされる様子が映っていた。2人はまずUber Eatsの配達員に人種差別的中傷を叫び、その後、制止しようとしたアジア系女性に唾を吐き、コールズの買い物かごを投げつけたとされている。
この映像は多くの人に衝撃を与えたが、バーウッド市のジョン・フェイカー市長は、この出来事は地域の実情を反映したものではないと語る。バーウッドはシドニーでも特に文化的多様性が高く、長年にわたりアジア系住民が多く暮らしてきた地域だ。しかし市長の見解とは裏腹に、地元住民の声は、この事件が一過性のものとは思えない現実を伝えている。
「アジア系として、正直すごく怖い」と語った男性は、「12歳や13歳の子どもがこんなことをするなら、他の人がやらない理由はない」と不安を口にした。過去にも人種差別的被害を受けた経験があり、今では周囲により注意を払って歩くようになったという。
別の女性は「全然驚かなかった」と話す。「前からこういう空気はあった。学校に行っていない子どもも多いし、最近は特に緊張感が強い」問題は単なる素行不良ではないとも指摘する。「若者のメンタルヘルスに、もっと向き合う必要がある。あんなに若くて怒りや不満を抱えているのは、ただ悲しい」
さらに、SNSなどオンライン環境の影響も大きいという。「世界全体が分断されていて、今の子どもたちは私たちが見なかったような情報や残酷な映像に触れている。それに慣らされてしまっている」
バーウッドの事件は決して珍しいものではない。昨年12月には、シドニー中心部近くのブロードウェイ・ショッピングセンターで乱闘が発生し、16歳1人と15歳2人が起訴された。金属製の椅子がフードコート内を飛び交い、買い物客が身を伏せる様子が撮影された。さらに昨年初めには、14歳を含む少年2人が、VIC州モーニントン半島で母親と赤ん坊に模造銃を向けたとして起訴されている。女性は「本物か分からず、子どもの命が怖かった」と語った。
こうした事件は、小売業における暴力の急増を示す統計とも一致する。オーストラリア小売業協会によると、2024年には全国で80万件の小売犯罪が発生した。87%の小売従業員が言葉の暴力や攻撃的行為を経験し、49%が脅迫を受けた。そのうち24%が人種・民族的動機によるもので、被害者の41%が17歳未満だという。
さらに深刻なのは、加害者の10%が全体の60%の被害を引き起こしている点だ。
セキュリティとリスク管理の専門家スコット・テイラー氏は、この事件は明確な傾向の一部だと指摘する。少女たちが大胆になるのは、年齢が責任回避になると考えているからだが、撮影され拡散されたことで、その認識が揺らぎ、さらに激昂した可能性もあるという。
通行人が介入しなかったのは無理もないとし、警備員でさえ対応に迷う状況だと説明する。「すべての行動は合法で、正当かつ比例的でなければならない」警備員には一般市民以上の権限はなく、逮捕権もない。
ショッピングセンターは、若者の反社会的行動が起きやすい場所になっているという。問題解決には総合的対応が必要だとテイラー氏は強調する。「照明やカメラといった設備、適切な手順、訓練された人材。この3つが揃って初めて効果が出る」
バーウッドの事件は衝撃的だったが、より大きな社会問題の一部であり、社会全体で多角的に取り組む必要があると結論づけている。
ソース:news.com.au – ‘No place for it’: Sydneysiders slam teen trend