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交通費高騰と通勤時間の長期化が問題に

【ACT12日】   家計データにより、オーストラリア人が交通にどれほどの費用を費やしているかという厳しい実態が明らかになり、もはや「標準的な通勤者」は存在しないことが浮き彫りになった。

アンソニー・アルバニージー首相が、全国的な燃料危機を受けて公共交通機関の利用を呼びかけたことについて、専門家は「平均的な通勤者の実態とかけ離れている」と指摘している。受賞歴のあるエンジニアで作家のフェリシティ・フューリー氏は、コロナ禍のライフスタイルや居住形態の大きな変化により、公共交通はもはや実態に適しておらず、多くの人にとって車が「唯一現実的な選択肢」になっていると主張する。

現在、家庭は週平均447豪ドル近くを交通費に費やしており、そのうち96.4%が燃料費、保険、メンテナンスなどの自家用車関連費用であり、公共交通への支出はごくわずかだ。「リアル・コミュート・レポート2025」によると、平均的な通勤者は年間3557豪ドルを通勤に費やしており、1日の通勤時間は2022年の54分から64分へと延びている。同期間に、通勤距離も平均32kmから37kmへと増加した。

フューリー氏は、この問題は人々が公共交通を避けているのではなく、交通システムが実際の移動実態に追いついていない点にあると指摘する。燃料危機下で公共交通の利用を促す首相の発言は、「標準的な通勤者」を前提としているが、そのような存在はもはや現実にはいないという。パンデミック以前は、通勤はCBDへのピーク時間帯の移動という予測可能なパターンだったが、新型コロナウイルスによって状況は一変した。

「コロナ禍で公共交通の利用は大きく落ち込み、いまだ完全には回復していない。その結果、現在の通勤スタイルはよりハイブリッド化している」とフューリー氏は語る。2021年の国勢調査では、在宅勤務をするオーストラリア人は21%に達し、2016年の4.7%から大幅に増加した。これにより、従来のCBDへの長距離移動から、近隣での短距離移動へと行動が変化した。現在では、少なくとも週1回在宅勤務をする人は3人に1人に近いとみられている。

フューリー氏は、現代の通勤は単なる自宅と職場の往復ではなくなっていると指摘する。共働き家庭が増えたことで、保育園や学校への送り迎え、買い物、介護など複数の目的地を巡る移動が日常化している。さらに、住宅を求めて地方に移住する人も増えており、交通手段が限られる中で通勤時間が長くなる傾向にある。同氏自身も、ブリスベンへの移動は車で1時間半、電車では2時間に加え、駅までの車移動にさらに10〜15分かかると説明する。

エンジニアの視点から見ると、問題は個人の行動ではなく構造的なものだという。「交通システムは『標準的な利用者』が決まったルートを移動する前提で設計されているが、その前提はもはや現実を反映していない」現在の道路やインフラの多くは数十年前に設計されたもので、当時は移動パターンがより単純で、結婚後に女性が働かないケースも多かった。また、燃料価格の上昇による負担は均等ではない。

政府はこれまで大規模交通プロジェクトに多額の投資を行ってきた。グラッタン研究所によると、過去20年間で当初計画より340億豪ドル多くが交通インフラに投じられ、50億豪ドルを超えるプロジェクトも10年前の1件から現在は9件に増加している。しかし専門家は、大規模プロジェクトだけでは現代の通勤問題は解決できないと警告する。シドニー大学の研究では、労働者の40%以上が出社と在宅勤務を組み合わせており、多くの人がフルタイム通勤に戻るくらいなら転職を選ぶ傾向があることが示されている。

フューリー氏は、政策と現実のギャップは拡大していると指摘する。公共交通を機能させるためには、さまざまな移動パターンやライフステージに対応した設計が必要だと強調する。

「公共交通は、単なる自宅とCBD間の通勤だけでなく、より幅広い利用者と移動形態に対応する必要がある。地方在住者や、1日に複数の目的地を巡る人々も含まれる。さらに、妊娠期や子育て中、高齢者の介護といったライフステージ、夜間労働者や女性の安全確保といった点も考慮すべきだ」

ソース:news.com.au – Rising costs and longer travel times expose gap between transport policy and commuter reality

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