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豪の賃貸住宅危機、かつてない水準に

【ACT30日】   オーストラリアの賃貸住宅危機がかつてない水準に達し、最低所得層だけでなくフルタイム労働者にとっても住宅が手の届かないものになりつつあることが、新たな調査で明らかになった。

アングリケア・オーストラリアが発表した最新の「賃貸住宅負担可能性スナップショット」によると、国内の住宅制度は「機能不全」に陥っていると指摘されている。2026年4月時点で全国4万8776件の賃貸物件を分析した結果、失業給付「ジョブシーカー」受給者が負担可能な物件は全国でわずか1件しかなかった。また、若者向け給付「ユース・アローワンス」受給者にとって手の届く物件はゼロだった。

高齢年金受給者にとっても状況は厳しく、手頃とされる物件は全体のわずか0.2%にとどまった。さらに、フルタイムで働いていても安心できない状況となっている。最低賃金で働く単身者が借りられる物件はわずか0.5%、最低賃金の共働き世帯でも14.8%に過ぎなかった。

同団体のエグゼクティブディレクターであるケイシー・チェンバース氏は、「危機が所得階層の上位にも広がっている」と指摘する。「フルタイムで働く人々でさえ住宅から締め出されつつある。最も懸念すべきは、これが一時的な問題ではなく、制度の恒常的な特徴になりつつある点だ」と述べた。

これまでこの問題は主に低所得者層に影響していたが、現在では働く人々にも及んでいるという。また、所得支援を受けている人々は依然として最も深刻な影響を受けており、民間賃貸市場にほとんどアクセスできない状況が続いている。「ジョブシーカーやユース・アローワンスの受給者は、深刻な家賃負担に陥らなければ賃貸住宅を借りることができない」と同氏は説明した。

さらに、過去10年間で状況は大きく悪化している。10年前には最低賃金の共働き世帯は約4件に1件の物件を借りることができたが、現在は大幅に減少し、賃金と家賃の格差が拡大している。家庭への影響も深刻だ。ジョブシーカーを受給するひとり親が借りられる物件は全国でわずか6件、最低賃金と育児手当を組み合わせても市場の2.6%しか手が届かない。

調査では、統計の背後にある実例も紹介されている。シドニー西部に住むシングルマザーは、家賃の上昇により生活費を差し引くとほとんどお金が残らず、職場や子どもの学校から遠くへ引っ越さざるを得なかった。また、ブリスベンの大学生は、家賃の高騰でシェアハウスにも住めず、友人宅を転々としたり車中泊を余儀なくされている。

住宅・福祉分野の関係者は、状況はもはや緊急の改革を必要としていると強調する。ナショナル・シェルターのCEOは、「必要不可欠な労働者や支援受給者が住まいを見つけられないのは、市場の問題ではなく制度の失敗だ」と述べた。

連邦予算を前に、アングリケアは政府に対し、不動産投資家向けの税優遇措置を見直し、その財源を公営住宅やコミュニティ住宅の建設に充てるよう求めている。「税制改革により投機的な投資を抑え、住宅価格の上昇を防ぐことができる」と同氏は述べ、「人々が手頃に借りられる住宅を増やすことが重要だ」と強調した。また、社会住宅への投資は「即効性のある支援」になるとし、「手頃な住宅が増えれば、人々はすぐにその効果を実感できる」と語った。同団体は、制度を立て直す責任は政府にあるとし、「民間市場は明らかに機能していない」と指摘。次期予算は、税制見直しと住宅投資によって現状を改善する重要な機会だとしている。

ソース:news.com.au – Rental affordability hits near zero as new snapshot finds just one affordable home nationwide for JobSeeker recipients

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