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2026年度豪予算案 現時点での主な内容

【ACT7日】   燃料安全保障、全国障害保険制度(NDIS)、防衛、税制改革などが、労働党政権による2026年度連邦予算案の主要テーマとなる見通しだ。アンソニー・アルバニージー首相は、今回の予算について「労働党の価値観に沿った内容になる」と説明している。

5月12日、ジム・チャーマーズ財務相は、世界的なエネルギー価格高騰、生活費上昇、そして1兆豪ドルに迫る国家債務を背景に、政府の年次経済計画を発表する予定だ。

先月、国際通貨基金(IMF)は、イラン戦争によるエネルギー価格ショックの深刻化が世界的な景気後退を引き起こす可能性があると警告した。IMFは当時、オーストラリアを含む各国政府に対し、高インフレ対策として公共支出を抑制するよう求めた。オーストラリア準備銀行(RBA)も、今年3回連続となる利上げを実施した後、同様の警告を発している。

チャーマーズ財務相は、豪州経済が「世界経済の混乱に翻弄されている」と述べる一方、「大胆な」予算案と「大幅な歳出削減」を約束している。

以下、現時点で判明している主な予算内容をまとめる。

■ 燃料安全保障

政府は、豪州の燃料安全保障と供給体制強化のため、100億豪ドルを計上する方針だ。このうち75億豪ドルは、燃料や肥料供給に対する融資、出資、保証、保険などの財政支援に充てられる。また、32億豪ドルは国内燃料備蓄施設の整備に投入され、約10億リットルの燃料を備蓄できる体制を目指す。さらに、最低備蓄義務(MSO)を引き上げ、重要燃料の備蓄日数を50日分まで拡大する。

この見直しは、野党・保守連合が先月、60日分への引き上げを提案していた。加えて、新たな製油能力拡大の実現可能性調査にも約1000万豪ドルが投じられ、州政府との共同出資で少なくとも1件の計画が支援対象となる見込み。

■ テロ対策

政府は7400万豪ドルを投じ、豪州保安情報機構(ASIO)と豪州連邦警察(AFP)が共同運営する「オンライン対テロセンター」を設立する。この資金は、暴力的過激思想や若者の過激化防止を含む、総額8000万豪ドルのオンライン対テロ強化策の一部。政府は、ビデオゲームや非公開チャットルームを通じたオンライン過激化が拡大していると警戒している。

■ キャピタルゲイン税(CGT)優遇措置見直し

政府は、住宅・税制における「世代間格差是正」の一環として、CGT割引制度の廃止を検討している。CGTは資産売却益に課される税金で、1999年にハワード政権が導入した制度では、12か月以上保有した投資物件などに対し50%の税額控除が適用されている。報道によると、政府はインフレ分を除いた実質利益にのみ課税するホーク・キーティング時代の方式へ戻す可能性がある。

3月には、緑の党主導の上院調査委員会が、「CGT割引は富裕層や投資家を優遇し、住宅市場を歪めている」と結論付けていた。また、賃貸投資損失を給与所得から控除できる「ネガティブギアリング」税制も縮小される見込み。

これらの変更は、アルバニージー首相が2025年選挙時に「見直さない」と公約していた内容に反する。

■ 一時的現金給付

チャーマーズ財務相は、「勤労所得オフセット」と呼ばれる一時給付制度として、納税している給与所得者に対し200〜300豪ドルを支給する案を検討していると報じられている。RBAのミシェル・ブロック総裁は、政府による生活費支援策がインフレを助長する可能性について警告している。

現時点で政府は正式発表していない。

■ 燃料税

政府は、観光業界からの圧力を受け、燃料税減税措置の延長を検討している。3月には3か月限定で燃料税を半減し、1リットルあたり26.3セント引き下げていた。大型車両向け道路利用料引き下げと合わせ、総額25億5000万豪ドル規模の支援策となっている。

■ 緊急医療クリニック

政府は、メディケア緊急ケアクリニックへの支援として、2025〜26年度から5年間で18億豪ドル、2030〜31年度以降は年間5億2560万豪ドルを投入する。同クリニックは予約不要・自己負担なしの医療サービスを提供している。

一方で、政府調査では通常のGP診療の5倍のコストがかかるとされ、費用対効果を疑問視する声もある。

■ NDIS改革

政府は今後4年間でNDIS予算を150億豪ドル削減する方針。マーク・バトラー保健・NDIS相は、制度インフレ抑制や利用資格厳格化のための法改正を5月12日に提出すると表明した。現在の予測では2030年に700億豪ドル超へ膨張するとされる制度費用を、550億豪ドル程度に抑える狙い。

また、制度利用者数も現在の約76万人から、2030年までに約60万人へ減少すると見込まれている。

■ 防衛

防衛費は今後10年間で530億豪ドル以上増額される。2026年国家防衛戦略(NDS)の一環として、防衛関連総額は8870億豪ドルに達する見込み。このうち4250億豪ドルは防衛能力強化に充てられる。

リチャード・マールズ国防相は、「第二次世界大戦以降で最も複雑かつ危険な安全保障環境に直面している」と述べ、防衛強化の必要性を強調している。

ソース:news.com.au – 2026 federal budget: Everything we know so far

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