生活

VICとNSWで蚊媒介感染症が発生

【VIC7日】   健康専門家は、今夏オーストラリアで蚊によって広がるウイルスに警鐘を鳴らしている。これらの感染症はすでにNSW州とVIC州で確認された。オーストラリア人は今夏の対策強化が呼び掛けられている。

VIC州では、ホーシャムの蚊トラップから日本脳炎が検出されたことを受け、住民に警告が出された。これは2025-2026年シーズンで初めて報告された蚊媒介ウイルスとなる。最初の検出以来、ウイルスはNSW州でも確認され、当局は60の地方自治体が潜在的に致死性の感染症リスクが高い地域に分類されたと発表した。

別の蚊媒介ウイルスであるクンジンウイルスは、11月20日に西NSW州のカウラで、監視用の鶏の血液サンプルを使った定期的な健康チェックの中で検出された。「気温が上がると蚊の数は増加する可能性が高く、NSW州の皆さんには、日本脳炎、マレー渓谷脳炎、クンジンウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルスといった病気を引き起こす蚊の刺咬から身を守るよう、改めて注意していただきたい」と、NSW州保健局の公衆衛生保護ディレクター、スティーブン・コネティ氏は述べた。

日本脳炎ウイルス(JEV)は、蚊によって媒介されるウイルスが原因で発生する疾病である。デング熱のような他のフラビウイルスと同様、人から人へ直接感染することはない。JEVは南・東アジアに広く分布しているが、オーストラリア全土でも確認されている。通常、国内南東部では春中頃から秋終わりにかけて発生が増えるが、北部では年間を通じてみられる。感染は稀だが、重篤で命に関わる病気を引き起こす可能性がある。約250人に1人は重度の脳感染症を発症し、致命的になることがある。

多くの人は感染しても症状が出ないが、一部には軽度で自然に治る症状が出る。問題となるのは非常に稀に起きる重篤なケースだ。JEV感染が進行して脳の重度の炎症、いわゆる日本脳炎を起こす。症状は、頭痛、高熱、嘔吐、けいれん、突発的な行動変化、意識レベルの低下、四肢の脱力や麻痺など。日本脳炎を発症すると死亡リスクが高まる。日本脳炎患者は高い死亡率を示し、生存者にも神経障害が残る場合がある。

クンジンウイルス(Kunjin virus)はウエストナイルウイルスのサブタイプで、JEVと同じく蚊によって媒介される。蚊が感染した水鳥や馬を吸血することで広がる。人から人へ感染することはないものの、川や湿地、灌漑地帯、洪水の多い地域に住む人ほど感染しやすい。このウイルスを媒介する蚊は、夏から初秋にかけてNSW州のマレー・ダーリング流域でよく見られる。

クンジンウイルスの症状はJEVよりも軽く、多くの場合、本人が気付かないほどである。感染者の多くは症状がなく、JEV同様、気付かないうちに自然に治癒する。症状が出ても軽度だ。

症状には、発熱、リンパ節の腫れ、発疹、関節の痛みや腫れ、頭痛、疲労などがある。JEVと比べると、脳炎に進行するケースは少ない。

日本脳炎については感染を防ぐための無料ワクチンが存在する。継続的に暴露リスクがある人には追加接種が推奨されることもある。一方、クンジンウイルスを含め、その他の蚊媒介ウイルスに対するワクチンはオーストラリアには存在しない。そのため、住民は屋外では虫除けの使用や、ゆったりした明るい色の服を着ることなどが推奨される。

蚊は薄暮と夜明けに最も活発で、自宅周りの古いタイヤや植木鉢などの溜まり水で繁殖する可能性があるため、こうした場所の定期チェックが勧められている。

NSW州保健局は、DEET、イカリジン、レモンユーカリ油を含む虫除けを使用し、特に水泳後はこまめに塗り直すよう推奨している。

ソース:news.com.au – ‘Silent transmission’: Warning as potentially deadly mosquito-borne diseases emerge in Victoria, NSW

この記事をシェアする

その他のオーストラリアニュース記事はこちら